2024年10月09日

紫式部A

立て続けに参ります。続きです。
〈本文〉
かく思はずと、友だちども思はる。』などこそ見えて侍れ。
 君の御ありさまなどをば、いみじくめでたく思ひ聞こえながら、つゆばかりもかけかけしくならし顔に聞こえ出でぬほどもいみじく、また、皇太后宮の御事を、限りなくめでたく聞ゆるにつけても、愛敬(あいぎやう)づきなつかしく候ひけるほどのことも、君の御ありさまも、なつかしくいみじくおはしましし、など聞こえ表したるも、心に似ぬ体(てい)にてあめる。かつはまた、御心柄なるべし。」
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〈juppo〉後編は短めです。今回、参考にさせていただいたサイトに、この部分が載っていたのでここまで描きましたが、この後も描いた方が良いですか?
 
 最後の「かつはまた、御心柄なるべし」を別の人物(尼)に言わせてしまいましたが、ここまでひとりの人のセリフですね。誰の発言かはテストに出ないと思うので、ご容赦ください。出たらすみません。
 そしてそのあたりの解釈は、よく分からないまま直訳してしまってます。
道長や彰子のことを、とっても素敵だったように書いてるのが紫式部らしくないんだけど、本人らが本当にそういう人だったからありのままなんじゃないか、という意味かなぁ、くらいの私の解釈で描きました。

 千年後の私たちにも、本当の紫式部像は計り知れないものがありますが、この頃の方たちにとっても、想像を駆り立てられる遠い世界の人だったんですね。200年くらい隔たっているようですからね。

 この後は、また源氏物語ダイジェストに戻る予定です。「紅葉賀」を鋭意まとめ中です。まとめ始めてから3ヶ月くらい経ってますけど。

posted by juppo at 22:45| Comment(2) | TrackBack(0) | 無名草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月08日

紫式部@

大変長らくご無沙汰いたしました。源氏物語ダイジェストの続きがなかなかお届けできないまま、今回はリクエストにお応えしております。『無名草子』です。
〈本文〉
 「繰り言のやうには侍(はべ)れど、尽きもせず、うらやましく、めでたく侍るは大斎院より上東門院へ、『つれづれ慰みぬべき物語や候(さぶら)ふ。』と尋ね参らせさせ給(たま)へりけるに、紫式部を召して、『何をか参らすべき。』と仰せられければ、『めづらしきものは、何か侍るべき。新しく作りて参らせ給へかし。』と申しければ、『作れ。』と仰せられけるを承りて、源氏を作りたるとこそ、いみじくめでたく侍れ。」
と言ふ人侍れば、また、
 「いまだ宮仕へもせで、里に侍りける折、かかるもの作り出(い)でたりけるによりて、召し出でられて、それゆゑ紫式部といふ名は付けたり、とも申すは、いづれかまことにて侍らむ。その人の日記(にき)といふもの侍りしにも、『参りける初めばかり、恥づかしうも、心にくくも、また添ひ苦しうもあらむずらむと、おのおの思へりけるほどに、いと思はずにほけづき、かたほにて、一文字(いちもんじ)をだに引かぬさまなりければ、
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〈juppo〉暑すぎる夏もようよう終わりになりそうですね。皆さまいかがお過ごしでしょうか。思い返すと今年の夏も、熱中症と日々戦っていただけで過ぎてしまった気がします。地球沸騰化の夏を生き延びただけで良しとするか〜という心境です。
 
 さて今回は久しぶりに「無名草子」から『紫式部』です。「無名草子」は以前、だいぶ以前、「源氏物語」の部分を描いたぶりになりますが、ここはその前にくる文章でしょうか。
 「無名草子」は女たちが古典の作品や作家を批評し合っている会話文で出来ていますよね。その会話が、誰の発言なのかよく分からないまま進んでいくのですが別に誰であろうと、内容に差し障りはない作りになってると思います。ただ、セリフの中に式部の日記の文が差し込まれていたり、ざっと読むと分かりにくい構造ではあります。
 
 大河ドラマのおかげで「源氏物語」成立の詳細にも注目されていますが、ここでは、彰子からのリクエストで書き始めた説と、出仕以前にもう書いていたので宮中に取り立てられた説を並べて、議論しているようです。その諸説あります問題に答えは出ないけど、とりあえず素晴らしいわね!と盛り上がっている女たちです。

 1コマ目「大斎院」は村上天皇の皇女の選子さん、「上東門院」は大河ドラマでもおなじみの、彰子さんです。
 
 もう1回続きます。近日中に。
posted by juppo at 02:46| Comment(2) | TrackBack(0) | 無名草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年07月15日

源氏物語ダイジェスト15末摘花B

猛暑は少し落ち着いたようで、今夜はエアコンを使わなくても涼しいです。まだ梅雨は明けないので蒸し暑さも要注意です。
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〈juppo〉「末摘花」は今回までです。この姫ともお近づきになれたようですね、我らが光源氏は。
 夜にばっかり忍んで来ていたので、朝を迎えてハッキリ分かったことには、やっぱりこの屋敷は貧しいのですね。すかさずそつなく贈り物なんかする光源氏。主人にだけでなく、下働きの者にまで心を尽くすスキのなさです。
 この姫は容姿ばかりでなく素養や教養もちょっと残念な方だったようで、モノにできたのはいいとして、最後は笑いのタネにしています。会えば会うほどがっかりな姫と比べて、若紫の可愛らしさよ、という場面で終わるんです。

 正月になると行われるという「男踏歌(をとこだふか)」とは、正月の14日に男たちが足踏みしつつ歌い歩く行事だそうです。なるほど騒がしそうですね。
秋の初めに通い始めて、新年になるところまでのお話でした。光源氏は18歳から19歳の日々だそうです。

 次回からは「紅葉賀」です。まだ描いていません。少しずつまとめているところです。頑張ります。
posted by juppo at 00:16| Comment(5) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年07月09日

源氏物語ダイジェスト14末摘花A

エアコンのリモコンが見つかりました!危うく一命を取りとめましたが、熱中症との戦いは始まったばかりであります。続きです。
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〈juppo〉「末摘花」全3回分はすでに描いてあるんですが、暑いと行動が滞りがちです。前回はどんな話だったかな、と自分で描いた内容もおぼろげになりがちです。
そうそう、噂を聞きつけて末摘花に会いに行ったものの目的を果たせず、図らずも頭中将との競争になってしまったところまででした。

 くり返し、亡き夕顔を思い出しながら、今回はついに末摘花との対面にこぎつける光源氏です。
 とにかく内気らしい末摘花は、頑なに直接の対面を拒んでいます。「いざって」は「躄(いざ)る」という動詞で、正座の状態から少し腰を浮かして膝をつけたまま移動する動きです。この時代の女性は室内では主にこうして移動していたらしいです。
 思うように逢瀬が叶わない相手に、どうして心が惹かれたのかと光源氏は自問するのですが、読んでいるこっちが聞きたいよ、と思わずにいられません。

 10月に行幸があることになっています。朱雀院(すざくいん)にお住まいの先帝の、40歳か50歳のお祝いだそうです。そのうち光源氏の異母兄が朱雀帝になるんですけど、この時朱雀院にいるのは桐壺帝の兄か父です。
 そのお祝いに行うパフォーマンスの練習に忙しい男たちです。練習の成果は、次の「紅葉賀」でご披露されます。

 練習の合間を縫って粘り強く忍んで行くと、思いがけず女房たちの質素な様子をかいま見たり、ついにご対面が成った末摘花の、残念すぎる容姿に驚愕することになります。
 この容姿のためだけに作品中覚えやすいキャラになっている末摘花です。これまでも、空蝉や軒端荻には痩せてるの太ってるのと、ルッキズムバリバリな源氏物語ですよね。それだけ美しい人が特筆される効果もあるんでしょうけど、何しろ光源氏自身が光るほど美しい設定ですし、相手になる女性は次から次に出てくるので、各々キャラ付けするためには無難な美女ばかりというわけにはいかないんですね。
 末摘花の鼻が赤いのは、寒いからなんじゃないかなと思いましたが、その前に長く垂れているそうなので、生まれつきなのかもしれません。

 そんな鼻の末摘花とのその後、が次回です。
posted by juppo at 02:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年06月30日

源氏物語ダイジェスト13末摘花@

大変長らくご無沙汰いたしました。源氏物語ダイジェストに戻ります。
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〈juppo〉暑いです。それなのにエアコンのリモコンが見つかりません。今年こそ熱中症で死ぬな、と危機感を覚えましたので、冷風機を購入しました。何とかこれで凌いでいます。今のところは。これに甘んじていないで、リモコンの捜索は続けます。

 今回からの3回は「末摘花」です。この姫を光源氏に紹介した、というか、うっかり存在を明かしてしまった大輔命婦(たいふのみやうぶ)という人も初登場です。父親が兵部大輔(兵部省の次官)ということしか書きませんでしたが、母親が左衛門の乳母という人で、その乳母が光源氏の大事な人だとか、繋がりがあったようです。女官や使用人に女の噂を聞いて近づいていく手法です。

 お話は「若紫」から続いているんですけど、夕顔を懐かしんでいる光源氏、まだ18歳です。亡くなった人のことはなかなか忘れられませんね。生きている女たちのことも誰ひとり忘れてはいないようですが。

 末摘花の父親は一応親王ですから、それなりの身分かと思われますが、亡くなる前の晩年にもうけた娘で、父の生前は可愛がられていたけれど亡くなった後は寂しくひっそり暮らしているのですね。光源氏は雨夜の品定め以来、いろんな境遇の女と親しくなろうと思っているので、まんまとターゲットになった末摘花です。
 そこで忍んでみた帰りに現れたのが、あの頭中将なんですが、つけてきたんですよ。光源氏を。それで、たまたま後をつけた頭中将も、この姫に狙いを定めることになります。抜け目のない男たちです。他の男も狙っていると知ったら先に落とさずには気が済まない光源氏の猛アタックが始まりました。
 だんだん近づいていきますのでお楽しみに。
posted by juppo at 23:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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