お久しぶりです!リクエストにお応えします。『今昔物語集』です。
安心してください。履いてないけど!
〈本文〉
今は昔、阿蘇の〇〇と云ふ史(さくわん)ありけり。長(た)け短(ひき)なりけれども、魂(たましひ)は極(いみじ)き盗人(ぬすびと)にてぞありける。
家は西の京(きやう)にありければ、公事(くじ)ありて内に参(まゐ)りて、夜深更(よふけ)て家に返(かへ)りけるに、東(ひむがし)の中の御門(みかど)より出(いで)て、車に乗りて大宮(おほみや)下(くだり)に遣(や)らせて行(ゆ)きけるに、着たる装束(しやうぞく)を皆解(と)きて、片端より皆帖(たたみ)て、車の畳の下に直(うるはし)く置きて、その上に畳を敷きて、史は冠(かむり)をし襪(したうづ)を履きて、裸になりて車の内に居たり。
然(さ)て、二条より西様(ざま)に遣らせて行くに、美福門(びふくもん)の程を過ぐる間に、盗人傍(かたはら)よりはらはらと出(いで)来(き)ぬ。車の轅(ながえ)に付きて、牛飼童(うしかひわらは)を打てば、童は牛を棄(す)てて逃げぬ。車の後(しり)に雑色(ざふしき)二三人ありけるも皆逃げて去(い)にけり。

〈juppo〉裸になるシーンがあるので・・と、躊躇しつつのリクエストでしたが、思い切って脱いでもらいました!
『今昔物語集』でのタイトルは「阿蘇史値盗人謀遁語(あそのさくわんぬすびとにあひてはかりてのがるること)」というんです。ほぼ漢文です。そして、この史の人、名前がないんです。敢えて伏せ字(?)のようにして特定を避けている、ように見せる手法のようです。
「いみじき盗人」の盗人は、人を欺く才能のある肝の座った人、というような意味だそうです。後から本職の盗人が出てくるので、ちょっとややこしいです。
そういう何やらしたたかな人が、車の中でおもむろに全裸になる。個室なので、何をしようが自由だと思いますが、そういう趣味だから、ではないのです。
襪は足袋のことで、下履きだったら良かったのにと思いながら描きました。
轅は牛が車を引くのにつけられた二本の棒のことです。
お付きの人々が皆逃げていき、取り残された車中で全裸の史の人・・の運命は以下次号、です。
posted by juppo at 03:03|
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