2020年02月29日

明石の姫君の入内A

突然降って湧いた長すぎる春休み、皆様いかがお過ごしでしょうか。続きです。
〈本文〉
人の装束(さうぞく)何かのことも、やむごとなき御ありさまに劣るまじくいそぎたつ。尼君なん、なほこの御生(お)ひ先(さき)見たてまつらんの心深かりける、いま一(ひと)たび見たてまつる世もやと、命をさへ執念(しふね)くなして念じけるを、いかにしてかはと思ふも悲し。その夜は、上(うへ)添ひて参りたまふに、御輦車(てぐるま)にも、立ちくだりうち歩みなど人わるかるべきを、わがためは思ひ憚(はばか)らず、ただかく磨きたてたてまつりたまふ玉の瑕(きず)にて、わがかくながらふるを、かつはいみじう心苦しう思ふ。
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〈juppo〉全6回のうち、今回のみ6コマでお届けします。

 紫の上は源氏の正妻ではないようですが、表向き入内する姫君の母なので、花嫁の付き添いとして最前列に立つのは当然なのだけれども、明石の君としては姫の産みの母として、自分も劣らず姫君のために何かしたい、しかしながらそれが入内の汚点になってしまったら、と悶々としていますね。
 「いそぎたつ」はここでは「準備を始める」という意味です。「輦車」は人の手で引く車です。「立ちくだり」はランクが一段落ちることで、紫の上は車で参内するのに自分は歩いてついていかなければならない立場なのを、自分はイイけど姫にとってはどうかな、とあれこれ悩んでいます。手放した我が子にまた会うために長生きすることを念じていたのに、こんなことになるとは生きながらえたことすら心苦しいと。ままならないものですね。

 学校が休みになっても、人の多く集まるところには行けない、そもそもテーマパーク等も閉鎖中。家にずっといろと言われても・・・と、皆さんも明石の君同様頭を抱えていることと思います。何より、卒業やクラス替えでお別れになる友たちとこんな形で解散になるなんて、なんでこんなことになっちゃったの?な事態ですよね。災難としか言いようがないですが、予想外に得た時間をどうぞ有効に使ってください。このブログを隅々まで読んでみる、とか。
 そして何か思い出に残る春にできたらいいですね。感染が収束して、皆が笑顔で迎える春が1日も早く訪れることを祈りつつ、次回に続きます。
posted by juppo at 21:25| Comment(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年02月24日

明石の姫君の入内@

お待たせしました!いよいよ本編スタートです!!
〈本文〉
 かくて、御参りは北の方添ひたまふべきを、常にながながしうはえ添ひさぶらひたまはじ、かかるついでに、かの御後見(うしろみ)をや添へまし、と思す。上(うへ)も、つひにあるべきことの、かく隔たりて過ぐしたまふを、かの人もものしと思ひ嘆かるらむ、この御心にも、今はやうやうおぼつかなくあはれに思し知るらん、方々(かたがた)心おかれたてまつらんもあいなし、と思ひなりたまひて、「このをりに添へたてまつりたまへ。まだいとあえかなるほどもうしろめたきに、さぶらふ人とても、若々しきのみこそ多かれ。御乳母(めのと)たちなども、見及ぶ事の心いたる限りあるを、みづからはえつとしもさぶらはざらむほど、うしろやすかるべく」と聞こえたまへば、いとよく思しよるかなと思して、「さなん」とあなたにも語らひのたまひければ、いみじくうれしく、思ふことかなひはつる心地して、
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〈juppo〉このシリーズは全6回です。もう全部描きました。思いのほか時間がかかったのはやっぱり『源氏物語』だからです。や、や、こしいぃ。ちょっと何言ってるかわからない話が延々続くので、訳本にかなり頼りましたが、絵にする以上誰が誰に話してるのかとか、誰のことを思ってるのかとか、整理しないわけにいかず、誰のことかわかってみると新たに「それは一体誰」な疑問が浮かぶため、ウィキペディアの解説などにも当たりながら描きました。エピソード0で人物相関図を作っておいたのは結局その後自分のためにもなったのでありました。

 冒頭いきなり「かくて」で始まるのはその前にもいろいろなお話があったからですが、その辺は全く不勉強なまま描いています。多分、いろいろあって明石の姫君が東宮に入内することになったいきさつとか、それに関する話とか、あるいは全く別の場面の物語が綴られていたかもしれません。いずれ機会があればその辺もご紹介できたら。

 そういうわけで、入内する姫君が一応ヒロインなのかなとも思いますが、実はその実母の明石の君と、姫の育ての親である紫の上の両人がお互い気を遣いあい脚光を浴びあい、後ろで源氏がそれを見守る、というような章になってます。それほど大きな動きのあるドラマでもないです・・なんて初回にぶっちゃけてどうする。でもそんな感じです。

 ともかく次回は近いうちに。
posted by juppo at 23:10| Comment(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする