2021年04月13日

阿倍(あべ)の右大臣と火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)D

四月ももう半ばですね。もうすぐ何の予定もないゴールデンウィークですね。続きです。
〈本文〉
家(いへ)の門(かど)に持て到りて、立てり。たけとりいで来て、取り入れて、かぐや姫に見す。かぐや姫の、皮衣(かはぎぬ)を見て、いはく、「うるはしき皮なめり。わきてまことの皮ならむとも知らず」。たけとり、答へていはく、「とまれかくまれ、まづ請(しやう)じ入れたてまつらむ。世の中に見えぬ皮衣のさまなれば、これをと思ひたまひね。人ないたくわびさせたてまつらせたまひそ」といひて、呼び据(す)ゑたてまつれり。
 かく呼び据ゑて、このたびはかならずあはむと嫗(おうな)の心にも思ひをり。この翁(おきな)は、かぐや姫のやもめなるを嘆(なげ)かしければ、よき人にあはせむと思ひはかれど、せちに、「否(いな)」といふことなれば、えしひねば、理(ことわり)なり。
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〈juppo〉ようよう5回まできました。火鼠の皮衣もついにかぐや姫の手に渡ったところです。が、さすが一筋縄ではいかないかぐや姫、冷静にブツを観察しています。一方、竹取の翁は実際贈り物のクオリティはどうでも良いのですね。とにかく早く、かぐや姫が良い人と結ばれてほしい親心があるばかりです。親といえば、久しぶりに嫗も登場しています。かぐや姫はこの二人に育てられたというのに、嫗の存在感の無さといったら。セリフがない限り絵に描かない私の責任も重大なんですけど。すみません。

 「やもめ」は独り者の男性を表すイメージかもしれませんが、もともと女性に使っていた言葉だそうです。男性は「やもお」と言ったそうです。バツイチでなくても未婚の人にも使っていたようです。今では男女ともに、配偶者を失った人に使うのですね。「男やもめに蛆がわき、女やもめに花が咲く」なんてフレーズもあります。今、「男やもめ」まで打ったら変換候補に出てきたのですかさず引用しました。前半部分だけよく聞くので、男性のイメージが強いのかもしれません。

 手塩にかけて育てたかぐや姫の気性を理解している翁は、無理に結婚を勧められないからこそ、条件が揃いそうな今度こそ!ゴールインできるのでは、と期待するのも道理ですよね、ということなんですね。さて、そううまくいくのでしょうか。残すところ、あと2回です。
posted by juppo at 23:06| Comment(0) | 竹取物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月08日

阿倍(あべ)の右大臣と火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)C

新学期が始まりましたね。母校の中学校の制服が変わったことに今日気がつきました。いつからですか、町田第一中学校。続きです。
〈本文〉
火に焼けぬことよりも、けうらなることかぎりなし。「うべ、かぐや姫好(この)もしがりたまふにこそありけれ」とのたまひて、「あな、かしこ」とて、箱に入れたまひて、物の枝につけて、御身の化粧(けそう)いといたくして、やがて泊(とま)りなむものぞとおぼして、歌よみくはへて、持ちていましたり。その歌は、
 かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣(かはごろも)袂(たもと)かわきて今日(けふ)こそは着め
といへり。
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〈juppo〉新学期が始まりましたが、皆さん適当に、肩の力を抜いてお過ごしください。

 今回、皮衣は「火に焼けない」という情報が藪から棒に出てまいりました。これだから新学期は気が抜けません。いえ、新学期は特に関係ないので気は抜いて大丈夫です。
 火鼠の皮衣が特別なものであることは何となくわかっていましたが、その特徴の一つとして「火に焼けない」性質があったらしいです。ここまで読んできた私たちは誰も知りません。この時代には当たり前のことだったとも思えません。とにかく、火に焼けないんです。皮衣は。

 そういう特別な皮衣の美しさを堪能した安倍御主人です。大事に箱に戻して、「物の枝」につけていますが、名前をはっきり言わずに曖昧にするときに「物」と言うのですね。だから何かの枝です。名前を特定すると季節も決まってしまうので、いつ読まれても良いようにしたのでしょうか。

 安倍御主人はこれをかぐや姫に届ければ、姫と結ばれることは疑う余地なし、と泊まってくる気満々です。大した思い込みですけれど、男ってのは大抵この程度は思い込みで行動していますから、女子の皆さんは気をつけてください。個人の感想ですけど。
 この方は大掛かりな冒険もせず、いるのかもしれませんが家来などその他の人も出てこないので、今回は完全に一人芝居な6コマでお送りしました。次回は当然、かぐや姫が出てきますのでお楽しみに。
posted by juppo at 23:40| Comment(0) | 竹取物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年04月04日

阿倍(あべ)の右大臣と火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)B

4月になりました。皆さんそろそろ「3密って何と何と何だっけ!?」なんて覚束なくなっていませんか。続きです。
〈本文〉
朝廷(おほやけ)に申して、からうじて買ひ取りて奉る。値(あたひ)の金少(すくな)しと、国司
(こくし)、使(つかひ)に申ししかば、王けいが物くはへて買ひたり。いま、金五十両賜(たま)はるべし。船の帰らむにつけて賜(た)び送れ。もし、金賜はぬものならば、かの衣(ころも)の質(しち)、返(かへ)したべ。
といへることを見て、「なに仰(おほ)す。いま、金すこしにこそあなれ。嬉しくしておこせたるかな」とて、唐土の方(かた)に向(むか)ひて、伏し拝みたまふ。
 この皮衣入れたる箱を見れば、金青(こんじやう)の色なり。毛の末(すゑ)には、金(こがね)の光(ひかり)し輝きたり。宝と見え、うるはしきこと、ならぶべき物なし。
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〈juppo〉密室・密会・密談・・・、違います。どうぞ正解を思い出してくださいね。

 ご注文の品が届いた安倍御主人です。Amazon並みにサクッと届いた感じもしますが、これまでの方達が3年くらいかけて宝を入手していたことから考えると、ここまでにも相当時間がかかっているかもしれません。隣の国と手紙のやり取りをするだけでも、今のようにはいかないでしょうからね。
 昔も今も、珍しいものはお寺にあるんですね。それを聞きつけ、お役人を通して、足りない代金を肩代わりしてまで手に入れてくれたこの王けいという人は、かなりできた人ですよね。差額を払ったら送ってやると言っても良さそうなところを、気前よく商品だけ先に送ってくれています。踏み倒す人もいるだろうな、と思ったらまさに安倍御主人は踏み倒しそうな雰囲気です。購入者としての評価が心配です。
 
 王けいの手紙の最後に「かの衣の質、返したべ」とありますが、この「質」は「しち」と読んで「人質」の「質」と同じ意味です。「質屋」の「質」とか。「物質」ですね。ものじち。
 また、皮衣を入れていた箱について、「金青の色」と言っていますが「紺青」のことだそうです。

 かくして、まんまと皮衣を手に入れた安倍御主人です。いよいよ次回はかぐや姫に・・・、御主人とともに、はやる気持ちでお待ちください。
posted by juppo at 17:08| Comment(0) | 竹取物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする