2022年04月21日

三顧の礼/水魚の交わりA

続きです。もうすぐゴールデンウィークなのに、寒いです。
〈本文〉
此誠不可與爭鋒。孫權據有江東、國險而民附。可與爲援、而不可圖。荊州用武之國、益州險塞、沃野千里。天府之土。若跨有荊益、保其巖阻、天下有變、荊州之軍向宛・洛、益州之衆出秦川、孰不簞食壺漿、以迎將軍乎。備曰、善。與亮情好日密。曰、孤之有孔明、猶魚之有水也。
〈書き下し文〉
此れ誠に与(とも)に鋒(ほこ)を争うべからず。孫権、江東に拠有(きよゆう)し、国険にして民附く。与に援(えん)と為すべくして、図るべからず。荊州は武を用うるの国、益州は険塞(けんそく)、沃野千里。天府(てんぷ)の土なり。若し荊・益を跨有(こゆう)し、その巌阻(がんそ)を保ち、天下変有らば、荊州の軍は宛(えん)・洛に向かい、益州の衆は秦川(しんせん)に出でば、孰(たれ)か簞食壺漿(たんしこしよう)して、以って将軍を迎えざらんや」と。備曰く、「善し」と。亮と情好(じようこう)日に密なり。曰く、「孤(こ)の孔明あるは、猶魚の水有るがごとし」と。
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〈juppo〉4月も下旬になろうとしているにしては寒い日が続いています。桜が咲いて散ったのももう過去のことだというのに。これがまた、暑くてたまらなくなる日がそのうち来るのだろうなと覚悟はしています。どうでもいいことを書いているのは生活のリズムが崩れて、夜明けにこれを書いているからです。

 諸葛孔明と劉備玄徳の出会いのお話は、ここまでです。参考にさせていただいたサイトには、もう一文あったのですが、そこからは龐士元についての文章のようだったので、劉備が孔明との関係を「水魚の交わり」だと、タイトル回収したところで完結とさせていただきました。最後に劉備が「孤」と言っているのはここでは「私」という意味です。

 孔明が劉備の今置かれている現状を冷静に判断して、戦いに際しての構えを唱えています。荊州と益州はその時代の地名です。宛も洛も、です。前回ご紹介した「諸葛孔明」の本に略図がいくつも載っているので、大いに助かったのですが、最後に「秦川ってどこよ?」という謎がなかなか解明できませんでした。新旧合わせて中国の地図を検索しまくり、結局「こちらの方」くらいにしか絵にできませんでした。他の地もだいたいの絵にしかなってませんけどね。
 
 「巌阻」は岩などがゴツゴツした険しい地のことで、「簞食壺漿」とは食べ物を竹の器に盛り、飲み物を壺に入れて饗することで、転じて軍隊を歓迎する意味なのだとか。漢和辞典に載ってました。
漢文で読む漢字は、旧字体などもあってやたら難しくて厄介ですけど、それぞれの字の意味や成り立ちまで知ると、なかなか面白いですね。
 なんてことを、夜が明けきった朝に、考えています。

 次回は草枕あたり、を考えています。
posted by juppo at 06:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年04月17日

三顧の礼/水魚の交わり@

大変長らくご無沙汰してしまいました。リクエストにお応えします。漢文、「十八史略」です。
〈本文〉
瑯琊諸葛亮、寓居襄陽隆中。毎自比管仲・樂毅。備訪士於司馬徽。徽曰、識時務者在俊傑。此間自有伏龍・鳳雛。諸葛孔明・龐士元也。徐庶亦謂備曰、諸葛孔明臥龍也。備三往乃得見亮、問策。亮曰、操擁百萬之衆。挟天子令諸侯。
〈書き下し文〉
瑯琊(ろうや)の諸葛亮(しよかつりよう)、襄陽(じようよう)の隆中(りゆうちゆう)に寓居(ぐうきよ)す。毎(つね)に自ら管仲(かんちゆう)・楽毅(がくき)に比す。備、士を司馬徽(しばき)に訪(と)う。徽曰く、「時務(じむ)を識る者は俊傑(しゆんけつ)に在(あ)り。此の間自ら伏龍(ふくりよう)・鳳雛(ほうすう)有り。諸葛孔明・龐士元(ほうしげん)なり」と。徐庶(じよしよ)もまた備に謂って曰く、「諸葛孔明は臥龍(がりよう)なり」と。備、三たび往いて乃ち亮を見るを得、策を問う。亮曰く、「操(そう)、百万の衆を擁し、天子を挟(さしはさ)んで諸侯に令す。
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〈juppo〉毎年3月はブログが滞りがちで花粉症のせいにしていましたが、今年気づいたことには、学年が一段落すると私もお休みモードに入ってしまうようです。「春休みにまで勉強しなくていいよね」とずっと思っている、もと学習塾講師です。などと言いつつ、4月になってもサボり続けてしまいました。満を辞して、諸葛孔明です。

 諸葛孔明は本名が諸葛亮で、孔明は字(あざな)だそうです。成人すると本名の他につける名前のことですって。ここでは最初のコマ以外は孔明で通しています。難しい漢字がたくさん出てくるのは漢文ではおなじみですが、それぞれ地名なのか人名なのか、さらにニックネームみたいなのも出てくるのでややこしいです。

 管仲、楽毅のふたりはこのお話には出て来ない・・どころかこの時点で何百年も前の人物らしいんですけど、そういう歴史上の偉人に憧れる孔明だったのですね。

 備とは劉備のことです、劉備玄徳とも言いますが玄徳が字です。孔明はこの時27歳、劉備47歳でかなり年下の孔明を訪ねた劉備が、へりくだって戦略を問うています。初めて会うまでにさんざん傑物らしい評判を聞いたからでしょうね。「臥龍」とは水中にいて、天から雲が下りてくるのを待っている竜のことだとか。

 曹操はこの時劉備が倒そうとしている相手です。今回は名前しか出てきません。

 孔明の話の途中で以下次号、です。2回で完結します。「三顧の礼」と「水魚の交わり」とタイトルも分けようかと思っていましたが、紛らわしいので一緒にして2話にしました。


 今回、この作品を漫画にするにあたっては、こちらのサイトを参考にし、白文・書き下し文もそのまま引かせていただきました↓

https://blog.goo.ne.jp/ta-dash-i/e/86b5af126d57a19b86c7bcc365cd9aac

また、こちらの本を図書館で借り、かなりの部分を助けられました。わかりやすいです。オススメです↓

posted by juppo at 02:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする