たいへん長らくのご無沙汰をいたしました。今年もよろしくお願いいたします。徒然草第八十八段です。
〈本文〉
ある者、小野道風(をののたうふう)の書ける和漢朗詠集(わかんらうえいしふ)とて持ちたりけるを、ある人、「御相伝(ごさうでん)、浮けることには侍(はべ)らじなれども、四条大納言(しでうのだいなごん)撰(えら)ばれたるものを、道風書かんこと、時代やたがひ侍らん。おぼつかなくこそ。」と言ひければ、「さ候(さうら)へばこそ、世にありがたきものには侍りけれ。」とて、いよいよ秘蔵(ひさう)しけり。
〈juppo〉前回「先帝身投」を描いた後に、リクエストいただいた漢文に着手するつもりでしたが、とある仕事で身動きが取れないまま半年が経過してしまいました。その仕事がなんとか片付いて、春の訪れと花粉症とともに、やっとブログに向き直る気持ちが湧き上がったところですが、漢文の資料を探し直すのにもう少し時間がかかりそうなので、とりあえず短いので再開のご挨拶です。
三省堂の国語教科書「言語文化」に、このブログから「朝三暮四」の漫画の一部が掲載されました。三省堂さまが教科書を送ってくださったので、その中の古文でひとつ描こうかな、と思ったらもうすでに描いたのばかりでした。この教科書で勉強する生徒の皆さんはぜひ当ブログもご活用ください。
まだ描いてないのが今回の「ある者、小野道風の書ける」だったのでこれにしました。短いし。
教科書にそれなりの解説があるのでそちらを参照ください、ではありますが、「和漢朗詠集」は平安時代中期の詩文集で、朗詠のために編まれたのだそうです。漢詩・漢文・和歌を歌人の四条大納言こと藤原公任が集めたと。
表題になっている小野道風という人は平安時代前期から中期の貴族で能書家だった人なんですね。
この二人の生没年から、その書に小野道風が書いてるワケないじゃん、というのがこの話のいわゆる「おかしみ」です。
実際にそういう話があったというより、同じ年に亡くなった人と生まれた人の存在が面白くて作ったネタじゃないかなというのが私の解釈です。
そういうわけで、これからはなるべく間をおかず更新していきたい当ブログです。リクエストにもお応えしていきます。お待たせしてしまうのは相変わらずですが。よろしくお願いします。
「朝三暮四」が載ったページ