2023年08月27日

鴻門の会H

日中ツクツクボウシの声を聞き、夜にスズムシの声を聞くようになりました。夏も終わるようですね。暑いですけど。続きです。
〈本文〉
項王曰、「沛公安在。」良曰、「聞大王有意督過之、脱身独去、已至軍矣。」項王則受璧、置之坐上。亜父受玉斗、置之地、抜剣撞而破之、曰、「唉。豎子不足与謀。奪項王天下者、必沛公也。吾属今為之虜矣。」沛公至軍、立誅殺曹無傷。
〈書き下し文〉
項王曰はく、「沛公安(いづ)国か在(あ)る。」と。良曰はく、「大王之(これ)を督過(とくくわ)するに意有りと聞き、身を脱して独(ひと)り去れり、已(すで)に軍に至らん。」と。項王則(すなは)ち璧を受け、之を坐上(ざじやう)に置く。亜父(あほ)玉斗を受け、之を地に置き、剣を抜き撞(つ)きて之を破りて曰はく、「唉(ああ)。豎子(じゆし)与(とも)に謀(はか)るに足らず。項王の天下を奪ふ者は、必ず沛公ならん。吾(わ)が属(ぞく)今に之が虜(りよ)とならん。」と。沛公軍に至り立ちどころに曹無傷(さうむしやう)を誅殺(ちゆうさつ)す。
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〈juppo〉こんなに暑い毎日でも確実に秋は近づいているのですね。そしてまた寒くなるんですよね、どうせ。この前片付けたばっかりな気がするストーブをまた出して、ガス代が4倍に跳ね上がるんですね。
 
 さて物語は佳境です。沛公さんはとっくに鴻門を去り、残った張良さんが代わりに贈り物を捧げています。これを受け取るなり叩き壊した亜父とは項王軍の軍師です。「豎子」は青二才とか未熟者という意味で、贈り物なんかで懐柔されるな、と項王を戒めているのでしょうね。

 その頃、沛公さんは既に自軍に戻っており、そもそもこのお話の発端であった、項王に告げ口した曹無傷を殺しちゃうんですね。まぁ裏切り者ですからね。

 味方に裏切られたり、敵を操ったり、権謀術数渦巻く戦国時代です。項王を戒めた亜父もその後、項王と袂を分かってしまうようです。ここではそこまで描きませんよ。

 あとちょっとだけ、付け足しのような続きがあります。近日中に。
posted by juppo at 23:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月24日

LINEスタンプを作りました。

「鴻門の会」がまだ途中ではありますが、お知らせです。
LINEスタンプを作りました。4年ぶり、2回目です。

[高校古文こういう話 動物編]
https://line.me/S/sticker/24074876/?lang=ja&utm_source=gnsh_stickerDetail
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今回はブログに登場した動物ばかりを集めました。こんなに動物を描いていたとは。

ちなみに、4年前に作ったのはこちら↓

https://store.line.me/stickershop/product/7171192/ja

興味のある方は、ポチッてくださいませ。



posted by juppo at 19:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月20日

鴻門の会G

早や立秋を過ぎ、日も短くなってきましたね。それにしては暑い。続きです。
〈本文〉
当是時、項王軍在鴻門下、沛公軍在覇上、相去四十里。沛公則置車騎、脱身独騎、与樊噲、夏侯嬰、靳疆、紀信等四人持剣盾歩走、従酈山下、道芷陽間行。沛公謂張良曰、「従此道至吾軍、不過二十里耳。度我至軍中、公乃入。」
 沛公已去、間至軍中、張良入謝、曰、「沛公不勝桮杓、不能辞。謹使臣良白一双、再拝献大王足下、玉斗一双、再拝奉大将軍足下。」
〈書き下し文〉
是(こ)の時に当たり、、項王の軍は鴻門の下(もと)に在(あ)り、沛公の軍は覇上(はじやう)に在り、相(あひ)去ること四十里(しじふり)なり。沛公則(すなは)ち車騎(しやき)を置き、身を脱して独(ひと)り騎(き)し、樊噲、夏侯嬰(かこうえい)、靳疆(きんきやう)、紀信(きしん)等四人の剣盾(けんじゆん)を持(ぢ)して歩走(ほそう)するものと、酈山(りざん)の下(もと)より、芷陽(しやう)に道して間行(かんかう)せんとす。沛公張良に謂(い)ひて曰はく、「此(こ)の道より吾(わ)が軍に至る、二十里(にじふり)に過ぎざるのみ。我(われ)の軍中に至るを度(はか)り、公(こう)乃(すなは)ち入(い)れ。」と。
 沛公已(すで)に去り、間(ひそ)かに軍中に至る。張良入理、謝(しや)して曰はく、「沛公桮杓(はいしやく)に勝(た)へず、辞(じ)する能(あた)はず。謹(つつし)みて臣(しん)良をして白壁一双(いつさう)を奉(ほう)じ、再拝(さいはい)して大王の足下(そつか)に献じ、玉斗一双をば、再拝して大将軍(だいしやうぐん)の足下に奉ぜしむ。」と。
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〈juppo〉今年の夏休みは、ただ暑かっただけで終わってしまわないですか皆さん。私は学生時代、新学期になると「制服が暑い」「ソックスが暑い」と薄着で過ごした夏休みの日々を懐かしんだものですが、こんな気候変動の行く末を思うと、いずれ夏の間はTシャツ短パンにビーサンで通う学校生活になったりしないでしょうか。いや、そうまでして通学しないですよね。リモートですよね。

 前回、鴻門を出た沛公さんはまだ去ってませんでした。今回いよいよ馬に乗って自軍に引き返します。樊噲以下四人の部下が随行します。3コマ目、「剣盾を持して歩走」とあるのでその四人の方には馬に乗らず走っていただきました。抜け道を通って約8qだったら駅伝1区の半分くらいですから、走れる距離ですね。馬についていくのは大変だと思いますが。そのメンバーの他に誰か一緒だったか不明ですが、あと二人ついでに走っています。そのくらいはいてもいいかな、と。
 4コマ目は話が前後しています。張良は鴻門に残っていますので。そう伝えてきたんです、という回想シーンですね。この後、張良が言われた通りの役割を演じるので、ここでその会話の内容が挟まれているんですね。

 覇上とは現在の陝西省(せんせいしょう)西安近郊の河川、覇水の周辺の地名、とかいうことです。何しろ地名です。
四十里、二十里の里はここでは1里=400メートルなんだそうですよ。驪山は陝西省にある秦嶺山脈の山だそうです。「しんれいさんみゃく」で変換できますが、心霊山脈になりがちかもしれません。芷陽は清の時代のこの辺の県の名前のようです。

 そんなわけでついに沛公さんが退場してしまいましたが、まだ出てきます。ちょっとだけ。残りあと2回です。なるべくお待たせせず更新したいです。

posted by juppo at 23:42| Comment(4) | TrackBack(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月12日

鴻門の会F

毎回言うようですが、暑いです。お墓参りに行かれる方は熱中症にお気をつけください。虫さされにも。続きです。
〈本文〉
樊噲曰、「大行不顧細謹、大礼不辞小譲。如今人方為刀俎、我為魚肉、何辞為。」於是遂去。乃令張良留謝。良問曰、「大王来何操。」曰、「我持白璧一双、欲献項王、玉斗一双、欲与亜父。会其怒、不敢献。公為我献之。」張良曰、「謹諾。」
〈書き下し文〉
樊噲曰はく、「大行(たいかう)は細謹(さいきん)を顧(かへり)みず、大礼(たいれい)は小譲(せうじやう)を辞せず。如今(じよこん)、人は方(まさ)に刀俎(たうそ)たり、我は魚肉たり、何ぞ辞するを為(な)さん。」と。是(ここ)に於いて遂(つひ)に去る。乃(すなは)ち張良をして留(とど)まり謝(しや)せしむ。良問ひて曰はく、「大王来(きた)るとき何をか操(と)れる。」と。曰はく、「我白璧(はくへき)一双(いつさう)を持(ぢ)し、項王に献(けん)ぜんと欲し、玉斗(ぎよくと)一双をば、亜父(あほ)に与へんと欲せしも、其(そ)の怒りに会ひて、敢へて献ぜず。公(こう)我が為に之(これ)を献ぜよ。」と。張良曰はく、「謹(つつし)みて諾(だく)す。」と。
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〈juppo〉先日お墓参りに行った時に蚊取り線香を持参したところ、携帯用のケース(平たい丸い金属のあれ)が、帰る時に持てないほど熱くなっていました。蚊にはさされずに済みました。

 さて、だいぶ前になってしまいましたが前回は、沛公さんが項王に「失礼します」と言わずに辞してしまったことを気にしていたところで終わったんでした。以前、ドイツ人に日本語を教えていた時にそのドイツ人の方が「『お先に失礼します』という日本語の意味がわからない。先に帰ることの何が失礼なのか。」と首をひねっていたことを思い出します。日本人の、残業の多さの原因の一つがわかったような気がしました。

 ここでは樊噲さんがあっさり「挨拶なんて必要ない」と結論してくれています。ここ、反語になってます。
 納得したのか沛公さんは去っていきますが、「去る」と言いつつまだ去らないんです。いつのまにか張良も外に出ていていろいろ引き継ぎが行われてますね。
 「白璧」とは白い玉のことで、玉は宝石みたいな貴重な石のようです。「玉斗」は玉で作った酒のひしゃくだそうですが、画像検索するとこういう形のものがヒットするのでひしゃくの形にはしませんでした。それらを代わりに献上しといてね、よろしくと沛公さんはやっと去ります。どこへ?自分の軍へです。えーもう帰るの?と何か物足りない感じもしますけど、無傷で鴻門を去れたのは何よりです。ここに至るまでの沛公さんの活躍を詳しく知らないので、沛公さんは結局何もしていないと思わずにいられないのですが。

 とにかく「鴻門の会」たる鴻門での会合は終了していますが、お話はもう少し続きます。あと3回。熱中症と戦いながら、続けます。
posted by juppo at 02:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする