2024年02月12日

源氏物語ダイジェスト6空蟬

先週は関東地方にも大雪警報が出たと思ったら、今週中に夏日のような陽気になるとか。三寒四温にもほどがある2月です。今回は「空蟬」です。
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〈juppo〉前回登場した空蟬との関係が発展するかに見えて、傍にいた別の女と発展してしまったという話です。その軒端荻(のきばのおぎ)は、空蟬からすると結婚した男の娘ですが、歳は同じくらいらしく、一緒に碁なんて売ってるところを見るとなさぬ仲ながら関係は良好なんでしょう。
碁は空蟬が勝ちました。「セキ」とは囲碁用語なんですね。そこに打つと自分の石も取られてしまうという、手詰まりの場所を指すようです。私には囲碁の知識は皆無ですが、平安時代の女性たちも用いていた用語のようです。

 空蟬は光源氏を想って悶々としながらも、いざ近くに来るとやっぱり逃げ出してしまいます。その時置き去りにした小袿(こうちき)を、光源氏は後生大事に持ち帰って、描いてないですが抱きしめて寝たりしています。小袿は十二単の上の方に着る着物で、普通の袿(うちき)より丈が短いものです。空蟬って、要するにセミの抜け殻のことですよね。この小袿を、抜け殻ですねと光源氏が詠んだことから彼女を空蟬と呼ぶのでした。
 一方、うっかり事故みたいに関係を結んでしまった軒端荻も、出番はこれだけではないようです。

 「空蟬」は短くて今回だけで終了です。次回から「夕顔」です。
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2024年02月05日

源氏物語ダイジェスト5帚木B

「帚木」の続きです。雨夜の品定めは終了しています。
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〈juppo〉帚木(ははきぎ)は女性の名前ではないんです。何のことだろうと思っていた謎が今回解けました。もともと信濃国の伝説の森にあった木だそうで、梢が箒(ほうき)のようになっていて遠くからは見えるのに近くに来ると見えなくなるんですって。近くに寄れば寄るほど避けられてしまう空蟬(うつせみ)がその帚木のようだと、歌に詠む光源氏だったのですね。ダイジェストなのでいちいち歌を紹介する気はさらさらないんですけど、今回はタイトル回収のために挿入しました。

 冒頭、方角が悪いのでよその家にわざわざ行ったのは、いわゆる方違え(かたたがえ)というもので、陰陽道によって神様のいる場所を示されたら、その方向にいてはいけないとか、そっちを通ってはいけないとか、いろいろ禁忌な事態が生じるらしいです。いつもいる宮中からなら大丈夫な方角だったのが、今日は左大臣家にいるのでこの方角を避けねばならない、とたまたま良い方角に住んでいた紀伊守(きのかみ)の家に突然お邪魔したのです。その家にたまたま女や子供が集まっていて、その中にいた空蟬に当然のようにアタックする光源氏です。光源氏って女に近づくために奇策を講じがちなんですけど、今回は女の弟の声真似をして油断させて会話を成り立たせています。いきなり器用さを披露している場面ですね。
 ところが空蟬には断固として拒否されます。本心は光源氏に惹かれないでもないようですが、親の後ろ盾もない、しかも夫がいる今の自分には叶わぬ夢、と諦めている節もあります。

 まだ始まったばかりの女性遍歴の端緒で、青春の蹉跌を味わい、とりあえず弟の小君で満足する光源氏17歳、でありました。
次回は「空蟬」をお届けします。ということは、この空蟬が引き続きお目当ての女です。この章の続き、と言えないこともないです。
posted by juppo at 01:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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