2024年05月08日

春はあけぼのA

続きです。言い忘れてましたが、カラーです。
〈本文〉
まいて雁(かり)などのつらねたるが、いと小さく見ゆるはいとをかし。日入り果てて、風の音、虫の音(ね)など、はた言ふべきにあらず。
 冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず、霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、火などいそぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、火桶(ひおけ)の火も白き灰がちになりてわろし。
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〈juppo〉後半は秋から冬です。それぞれ些細なことなんですけど、確かにそういう風景などは季節を象徴していて良いよね、というリストになってますね。

 「つとめて」は早朝のことで、冬は早朝がとにかく良い、というのは何となくわかる気がします。冬の早朝の、寒さで張り詰めたような空気って、その時期にしか感じられない肌感覚で独特で、清々しいものがありますよね。その寒さでなかなか布団から出られない気持ちになると、いやいやそんな良いものではないよ、と否定したい気持ちになるのももっともですけどね。
 この季節のここが好き!というのは人それぞれ、地域それぞれだと思います。皆さんはどうですか?と話し合ってみるところまでが、『枕草子』の読み方ですよね。SNSに投稿したら「私ならこれ」と様々なコメントが寄せられるんだろうなと思います。

 寄り道でお届けした「春はあけぼの」でした。この後はまた源氏物語ダイジェストに戻ります。
しばしお待ちください。
posted by juppo at 04:51| Comment(7) | TrackBack(0) | 枕草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月06日

春はあけぼの@

寄り道です。『枕草子』ですが、今ごろこれ?です。
〈本文〉
 春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる。
 夏は夜。月のころはさらなり、闇もなほ、蛍の多く飛びちがひたる。また、ただ一つ二つなど、ほのかにうち光りて行くもをかし。雨など降るもをかし。
 秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏の寝どころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど、飛びいそぐさへあはれなり。
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〈juppo〉このブログを始めた頃だったか始める前だったか、この「春はあけぼの」の下描きを途中まで描いて、めんどくさくなって仕上げるのをやめてしまったのは覚えています。その後、数々の『枕草子』作品を漫画化しているうちに、当然これもブログにupしている気に、勝手になっていました。していませんでした。

 この春私は、ひょんなことから光村図書の小学校国語教科書五年「銀河」を入手しました。その、小学校の教科書に、「春はあけぼの」が載ってるではありませんか。もちろん口語訳付きなんですけど、他にも『方丈記』や『徒然草』も載ってるのです。なるほど、小学生から古文に親しんでもらおう、ということなのですね。
 それでふと、「春はあけぼの」といえばブログに載せたよなぁ、と思って探したら、なかったんです。描いてないんですから。

 そんなわけで急遽、源氏物語ダイジェストを中座して、これを描いたというわけです。描いてなかったからです。
 有名な『枕草子』の冒頭ですから、いちいち漫画にしなくても皆さん内容はお分かりでしょう、という気持ちもどこかにありました。内容とは要するに、四季それぞれの、ココが良い!という時間帯や情景を並べているのです。ここでは「山ぎは」と「山の端」の違いに注意!というくらいで、さほど難しい点はありません。
 秋冬に比べて春夏は短くて、もう秋の途中まで来て「続く」ですが、後半も同じ6コマです。

 続きは近日中に。「末摘花」はそれからまとめます。

posted by juppo at 01:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 枕草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月04日

源氏物語ダイジェスト12若紫B

ゴールデンウィークも後半だそうで。雑草も生え放題です。『若紫』はこの回で終了です。
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〈juppo〉里下がり中の藤壺さんとの逢瀬に漕ぎ着けた光源氏でした。ここで藤壺さんが、あれで終わりにしておけば、と後悔していますが、何のことだかわからないんです。過去に光源氏と睦まじく接していた描写はあったものの、一線を超えたとか、心を通わせていたとか、そういう叙述はなかったようです。必要以上に仲良くしてしまったことを悔やんでいるのか、行間を読むしかないようです。ダイジェストですので、行間どころかほとんどすっ飛ばしですから、「そうなの?」と感じて読み進んでいただければ、と思います。

 そんなわけで禁断の密会の結果、まんまと懐妊する藤壺さんです。お腹が大きくなれば隠しきれないので宮中に戻って来ますが、桐壺帝(光源氏の父)は疑うことなく自分の子だと思っているんですね。

 一方光源氏はあの尼君亡きあと、手段を選ばず紫の上を奪取することに成功しましたよ。ダイジェストなので、尼君の訃報には全く心が動かされていないように見えるかもしれませんが、詳しく読むと少しは悲しんでる描写もあります。つくづく読んでも、その心のうちは幼女を手元に置くことしか考えてないんじゃないの?としか思えない、とも言えますけど。

 『若紫』の次は『末摘花』です。が、その前にちょっと寄り道します。ゴールデンウィーク中に作業が進めば。
posted by juppo at 02:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年05月02日

源氏物語ダイジェスト11若紫A

ゴールデンウィーク最中の平日です。寒いです。続きです。
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〈juppo〉前回、若紫こと紫の上が藤壺の姪だということが明らかになったところで終わりました。紫の上の世話をしている尼さんと、光源氏に話しに来た坊さんが兄妹です。この坊さんは光源氏がわらわやみを癒しに行った聖(ひじり)とは別人です。
尼の娘が紫の上の母なので、紫の上は尼の孫です。紫の上の父親が兵部卿宮(ひょうぶきょうのみや)という人で、光源氏がぞっこんの、藤壺さんがその妹なんですね。

 幼女に心を奪われている間にわらわやみは治ったようで、都に帰るタイミングでお迎えが来たりしていますが、この北山行きは内緒で出かけて来たようです。

 紫の上に執心しつつも、藤壺に会えるチャンスは逃さない我らが光源氏です。病気で宮中から里に下がった藤壺さんですが、何の病気かよくわかりません。光源氏との逢瀬を実現させるための里に下がる設定なのかな、というくらいの病気です。王命婦(おうみょうぶ)という藤壺付き女房が、ここではその算段を取り付けてくれたようです。この逢瀬からまた、いろいろと物語が動いていくんですよね。
てなことで、以下次号。
posted by juppo at 03:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする