伊勢物語、第五段です。
〈本文〉
むかし、をとこありけり。東の五條わたりにいと忍びていきけり。密(みそか)なる所なれば、門(かど)よりもえ入らで、童(わらは)べの踏みあけたる築地(ついひぢ)のくづれより通ひけり。人しげくもあらねど、たびかさなりければ、あるじききつけて、その通ひ路に、夜毎に人をすえてまもらせければ、いけどもえ逢はで帰りけり。さてよめる。
人知れぬわが通ひ路の関守は、よひよひごとにうちも寝ななむ
とよめりければ、いといたう心やみけり。あるじゆるしてけり。
二條の后に忍びてまいりけるを、世の聞えありければ、兄人(せうと)たちのまもらせ給ひけるとぞ。
〈juppo〉男の詠んだ歌といい、穴から通っていたところといい、求愛の仕方があまりにも一途で微笑ましいですよね。
2007年02月04日
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読んでみると、結構他愛のない話だったりすることもあるんですよ、古文。単純なところがいいよね。
高校古典の授業で使わせてもらってよいですか?
コメントありがとうございます。
上の漫画はずいぶん前に描いたので、絵が自分では恥ずかしい出来なのですが、授業でお使いになるのは全然構いません。
どうぞ楽しい学習のお手伝いをさせてやってください。
よろしくお願いいたします。