〈本文〉
あづま路の道の果てよりも、なほ奥つ方に生ひ出でたる人、いかばかりかはあやしかりけむを、いかに思ひ始めけることにか、「世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばや。」と思ひつつ、つれづれなる昼間、宵居などに、姉・継母などやうの人々の、その物語、かの物語、光源氏のあるやうなど、ところどころ語るを聞くに、いとどゆかしさまされど、わが思ふままに、そらにいかでかおぼえ語らむ。いみじく心もとなきままに、等身に薬師仏を造りて、手洗ひなどして、人間にみそかに入りつつ、「京にとく上げたまひて、物語の多く候(さぶら)ふなる、ある限り見せたまへ。」と、身を捨てて額(ぬか)をつき、祈り申すほどに、十三になる年、上らむとて、九月(ながつき)三日、門出して、いまたちといふ所に移る。
年ごろ遊び慣れつる所を、あらはにこほち散らして、立ち騒ぎて、日の入りぎはの、いとすごく霧りわたりたるに、車に乗るとて、うち見やりたれば、人間には参りつつ額をつきし薬師仏の立ちたまへるを見捨てたてまつる、悲しくて、人知れずうち泣かれぬ。

〈juppo〉「あづま路の道の果てよりもなほ奥つ方」というのは、上総国(千葉県南部)のこと。当時、門出するとは「旅立ちに先立って吉日を選び、いったん仮の所に移る」ということだったそうです。
それにしても、等身大の薬師仏を造って・・・って、なんていうか、ちょっとスゴイ。



突然ですが、明日古典のテストです・・・!
どうしようかと思って、更級日記の解説を探していたら、このサイト様に行き着きました。
かわいい漫画ですっごく分かりやすいです。
これからも頻繁に来ようと思います。
頑張って下さい!!
はじめまして。いらっしゃいませ!
更新頻度が激しく低い、「ごくたまに更新」なブログですが、親しみやすいサイトを心がけつつ、これからも地味に続けていきますので、どうぞよろしく(^o^;
古典のテスト頑張ってくださいね〜。
「あづま路の奥」と「中納言参りたまひて」のイラストを古文に抵抗のある生徒たちに紹介したいと思うのですが、よろしいでしょうか?
コメントありがとうございます。
授業のお役に立てそうでしたら、どうぞコピーしてお使いください。
生徒さんたちに古文に親しんでもらえたら、嬉しい限りです。