〈本文〉
源氏の五十餘巻、櫃(ひつ)に入りながら、ざい中將、とほぎみ、せり河、しらら、あさうづなどいふ物語ども、一袋とり入れて、得て帰る心地の嬉しさぞいみじきや。はしるはしる、わづかに見つつ、心も得ず心もとなく思ふ源氏を、一の巻よりして、人もまじらず、几帳の内にうち臥してひき出でつつ見る心地、后の位も何にかはせむ。昼は日ぐらし、夜は目のさめたるかぎり、火を近くともして、これを見るよりほかの事なければ、おのづからなどは、空におぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに、夢にい清げなる僧の、黄なる地の袈裟着たるが来て、「法華経五巻をとくならへ」といふと見れど、人にも語らず、習はむとも思ひかけず、物語の事をのみ心にしめて、われはこの頃わろきぞかし、盛りにならば、容貌(かたち)もかぎりなくよく、髪もいみじく長くなりなむ。光るの源氏の夕顔、宇治の大將の浮舟の女君のやうにこそあらめと思ひける心、まづいとはかなくあさまし。

〈juppo〉「とほぎみ」〜「あさうづ」はその頃あった物語のタイトルのようです。夕顔、浮舟というのは『源氏』に登場する女性たちのこと。
オタクです。物語オタク。現代だったら間違いなくコスプレまで突っ走ってるな、てなお嬢さんですね。
すごく分かりやすくてためになりました★
次は源氏物語を見てみたいなぁ・・・♪
コメントありがとう?
『源氏物語』、やっぱり興味惹かれるよね。大作なので、躊躇してましたが、なるべく早く着手します!しばしお待ち下さい。
五十余巻き、参考にさせていただきました。
こういうのがあると助かります。
書かれたのは三年前なんですね・・・
コメントありがとうございます。
三年も前に描いたものを今見ると、ちょっと恥ずかしいですね。
お役に立てましたら何よりです。
またお出でください〜。
コメントありがとうございます!
お役に立てたなら何よりです。
古文に親しむきっかけになるようなブログを目指して、これからも頑張ります(^-^)