伊勢物語、第六段です。そんなに長い話でもないんですけど、2回に分けて描きます。
〈本文〉
むかし、をとこありけり。女のえ得まじかりけるを、年を経てよばひわたりけるを、からうじて盗み出でて、いと暗きに来けり。芥川といふ河を率ていきければ、草の上におきたりける露を、「かれは何ぞ」となむをとこに問ひける。ゆくさき多く夜もふけにければ、鬼ある所とも知らで、神さへいといみじう鳴り、雨もいたう降りければ、あばらなる蔵に、女をば奥におし入れて、をとこ、弓やなぐひを負ひて戸口に居り。はや夜も明けなむと思ひつついたりけるに、鬼はや一口に食ひてけり。「あなや」といひけれど、神鳴るさわぎにえ聞かざりけり。
〈juppo〉雷は神様の怒声だ、と考えられていたんですね。で、「神鳴るさわぎ」という表現になる訳です。
結構基本な作品なのですが、「女のえ得まじかりけるを」なんていう呪文みたいな文に躓いてしまう方もいるかもしれません。この「女の」の「の」は「リンゴの皮」とか「私の家」とかの「の」ではなく、「クジラの大きいヤツ」とか「ドイツ車の新型」などの「の」と同じ用法です。文法用語では『同格の「の」』とか申します。口語でなら「で」になると思えば良いでしょう。「女でさ〜、ちょっと落とせそうになかったのを〜、ずーっと口説き続けてたのをさ〜」とか言ってると思って下さい。
ついでに言うと「え得まじかりける」の「え」は「まじかり」とセットで「〜出来そうもない」という意味です。
さて、ホラーな恋物語の結末は!?つづく!
2007年03月06日
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気になります・・・
中途半端なところで続くにした上、いつまでも更新しないでスミマセン(^^;)近日中に!
全巻、揃えてしまいました!
授業で使わせていただいたりしているのですが
はや夜も明けなむ、で
終助詞「なむ」を覚えて欲しいので
夜が明けて欲しい、となっていればよいのに・・・と
思いました。
コメントありがとうございます!
ご不便をおかけしておりますが、意訳してしまっている部分も多いです。恐縮です。
授業でお使いいただく際は、是非先生のお考えでセリフを書き換えたり、説明を加えるなどして理解を深めるサポートをしていただければと思います。
どうぞよろしくお願いします〜。
高校1年の古文の授業で使わせていただいてもよろしいでしょうか・・・
コメントありがとうございます。
はい、授業でお使いいただいて構いません。
是非、生徒さんたちにも楽しんでもらってください。
よろしくお願いいたします。