イライジャ・ウッド演じるユダヤ系アメリカ人の青年ジョナサンが、祖父の故郷ウクライナを旅して家族の歴史を紐解く物語。原題は『Everything is illuminated(全ては解明された)』で、こっちのタイトルを見れば「なるほど、解明されるのだな」ということを予め予想しながら見ることができる。
邦題にある「コレクション」とは何かというと、ジョナサンが病的なコレクターで、特に家族に関するものを何でもジプロックに入れて持ち帰り、部屋の壁に展示しているところから来ている。こちらのタイトルとその意味だけ知って見ると、「おたくの映画かな」なんて思うかも知れない。
私が言いたいのは、どちらの先入観で見ても、また先入観などなく見ても、「いい映画ですよ」ということだ。
物語の前半は、ウクライナにやってきたジョナサンと、彼を案内するウクライナ人青年のアレックス、その祖父で自分は目が悪いと主張しながら運転手をするアレックス(家族3代同じ名前なんですって)、そのジジィの盲導犬、といいつつ別に全然盲導犬じゃないちょっと頭のおかしい犬の、目的の村までの珍道中。
青年アレックスはアメリカびいきで英語も出来るけれど、アメリカに対する理解がかなり偏っていたり、ジョナサンがベジタリアンなので肉は食べられないと言うと、行く先々で「体でも悪いのか?」と聞かれたり。(ウクライナにはベジタリアンはいないんだろうか?)
彼らの掛け合いトークを楽しんでいるうちに、実はただのドタバタロードムービーじゃないことが分かる、シリアスな後半にいつの間にか連れていかれる。
ジョナサンの祖父が後にした村の秘密。偏屈な頑固ジジィだと思っていたアレックス老人の過去が、実はそこに意外な形で絡んでいたりする。
最後には、イライジャ・ウッドのもう一つの『指輪物語』だったのか、ということも含めて、「全ては解明される」映画。「全て」は言い過ぎかなー?と、私はちょっと思ったけど。
イライジャ君の緑の目がビン底メガネで増幅されて、変人ぶりが満喫出来るところもツボ。ものすごく純粋そうに見える無垢な瞳なのに「やっぱり変だよあんた」って言いたくなる演技に注目です。

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