2007年11月03日

馬のはなむけ

土佐日記、12月22日から24日分です。

〈本文〉
 二十二日(はつかあまりふつか)に、和泉の国までと、平らかに願(がん)立つ。藤原の言実(ときざね)、船路なれど、馬(むま)のはなむけす。上(かみ)中(なか)下(しも)、酔ひあきて、いとあやしく、潮海(しおうみ)のほとりにて、あざれ合へり。
 二十三日(はつかあまりみか)。八木の康教(やすのり)といふ人あり。この人、国に必ずしも言ひ使ふ者にもあらざなり。これぞ、たたはしきやうにて、馬のはなむけしたる。守(かみ)からにやあらむ、国人の心の常として、今はとて見えざなるを、心ある者は恥ぢずになむ来ける。これは、ものによりてほむるにしもあらず。
 二十四日(はつかあまりよか)。講師(こうじ)、馬のはなむけしに出でませり。ありとある上下、童(わらわ)まで酔ひしれて、一文字(ひともじ)をだに知らぬ者しが、足は十文字(ともじ)に踏みてぞ遊ぶ。

umanohanamuke.jpg
〈juppo〉『土佐日記』は第1日目を描いたまま、すっかりご無沙汰してしまっていました。今回は続く3日間の出来事なんですけど、まだ出発してないんですね。3日に亘って飲めや歌えの大騒ぎを繰り広げていただけという・・・。船旅は何が起こるか分からないので、出発前の気合いの入れ方が違うのでしょう。
 
 「はなむけ」という言葉は今でも旅立つ人へ向けて使いますよね。漢字で書くと「花向け」なのかな、と思われそうですが、馬の鼻を向けることから来てるので「花」ではなく「鼻」のことなんですね。見送る人が旅立つ人の馬の鼻を、目的地方向に向けるという儀式があったらしいです。漢字で書くと「餞」なんですけどね。
 そして、ここでの「はなむけ」は送別会のような宴のことなんだそうです。2コマ目は、船で行くのに「(馬の)はなむけ」なんちゃって、というシャレになっているんです。

八木の康教という人が、役人仲間でもないのに見送りに来てくれたのを「国司の人柄の賜かな」と言っている訳ですが、そう言っているのはその人柄の持ち主なんですよね。女性を装って書いた日記なので、自分の事を他人事のように書いてるのがちょっと紛らわしい、というかちょっと自慢ですよね、その部分。
posted by juppo at 23:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 土佐日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック