2007年12月17日

落とし込む

 友人がブログに書いていた文章の中に、こんな一文があった。
 「何を私たちが知りたいということを落とし込んでいる。」

 ・・・落とし込んでいる。
 私はこの「落とし込む」という言葉を、どこかで聞いた事があるような気もするが、自分では今までの人生で一度も使った事がないので気になった。「落とし込む」って?

 気になったので調べてみた。
辞書をひくと、私の手許にある三省堂国語辞典には「落とし込む」という語はない。
 インターネットの辞書も当たってみたが、やはりない。
 しかし、検索サイトで「落とし込む」を検索すると、膨大な数の用例がヒットした。私が知らないだけで、フツーに使われている日本語のようだ。

 では、どういう意味なのか。

 用例を見ると、
 �.灰襯�の栓をビンの中に落とし込む。
 �⊂�麦粉を水で溶いて味噌汁の中に落とし込む。

 �� は「落とす」で良いのではないだろうか。ビンの中に入ってしまった状況を言い表したいのはわかるが、「中に」とちゃんと言っているのだし。
 �� は「入れる」で良いと思う。入れるものが液体なら「流し込む」、卵のようにちょっと固まっているものなら単に「落とす」とでも言えば良い。

 �� 棚板を落とし込むだけの簡単システム。
 �� UMLをJavaに落とし込む。
 
 このへんからだんだん分からなくなってくる。��はネットショップで売られている収納棚の説明だが、この文を読んだだけでは、私にはどういうシステムなのか分からない。一生懸命想像して、「はめ込むってこと?」という結論がせいぜい出る程度だ。
 �� も私には何の事かさっぱり分からないのだが、唯一聞き覚えのある用例でもある。コンピュータが登場してから、「ファイルをMDに落とす」なんて表現はよく耳にする。・・という事は、「ダウンロードする」ということなのか?

 さらに難解な用例が以下。
 �Α惻卍垢旅佑┐鯆其發僕遒箸傾「猜くつ �
 ��対人関係の問題を自分の問題に落とし込む。
 ��理念をどこまで落とし込むか。

 �� は書籍のタイトル。「反映させる」という意味だろうか?
 �� は素直に考えれば、「当てはめる」とか「置き換える」という意味だと思うが、友人の書いた表現と合わせ考えると、「AをBに落とし込む」とは、「Aについて精査し、情報をふるい落としてBに取り入れる」といったような意味なのだろうか。

 �� は、もはや応用問題である。ここでの「落とし込む」はどういう意味か。30字以内で答えよ。

 
 調べてみて何となく分かったのだが、もともとコンピュータ関連の言葉だったのが、今ではビジネス界で頻繁に使われている表現のようなのだ。友人も、私などは想像も及ばないようなバリバリキャリアな世界で活躍している女性だ。彼女にとってはごく当たり前の表現なのだろう。

 狭い世界から生まれた言葉、いわゆる隠語が一般に行き渡ることは、よくある。
 「落とし込む」も、�?△肌ΙГ隆屬砲呂泙聖箸なC傍mイ�あるように見えるが、ほんの少しの間に普及してしまう言葉なのかも知れない。「パソコン」や「事業」を「立ち上げる」という言い方のように。


otoshikomu.gif  言葉は生きていて、常に変化したり新しく生まれたりする。「ついていけない」と思う事もあるけれど、その移り変わりを目の当りに出来る幸運に、感謝しなければ。

posted by juppo at 23:26| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
柴田純子様、はじめまして。MEと申します。

会社のブログに記事を書いています。制作会社でライターをしているため、コトバには敏感であれ…と思い続けております。

この「落とし込む」については、私とまったく同じ行動を柴田様が辿っておられ、驚きとともに親近感を覚えました。

私も書きたいのです。「落とし込む」に関する記事を…マネをするわけではないので、「同じ感覚の人がいらっしゃってびっくり」みたいなことを書かせていただいてもよろしいでしょうか。

お返事をお待ちしております。柴田様の許可をいただければ、近いうちにまとめたいと考えております。
Posted by ME at 2008年01月11日 16:43
ME様

 記事を読んでくださり、親近感を覚えていただけたなんて感激です。許可なんて僭越なんですけど、是非MEさんの、『落とし込む』の記事を書いてください!読ませてください。楽しみにしています。またこちらにもお越し下さい。これからもどうぞよろしく。
Posted by 柴田 at 2008年01月11日 17:26
柴田純子様

MEです。先日は記事を書くことを了解していただき、どうもありがとうございました。

おかげさまで安心して書けました。拙いひとりごとですが、お時間のあるときにでも、ご覧くださいませ。

今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by ME at 2008年01月16日 13:41
MEさま

ありがとうございます。記事、拝見しましたよー。私の文章の言葉不足を補って余りある内容だと思います。確かに、釈然としないところもあるんですよね・・・。
日本人なのに完璧に使っている人の方が少数派なのでは?と思える点で、日本語って面白いなと思います。そもそも完璧って何だろう、ということも含めて。
Posted by 柴田 at 2008年01月16日 16:05
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