枕草子、第二百九十九段です。
〈本文〉
雪のいと高う降りたるを、例ならず御格子(みこうし)まいりて、炭櫃(すびつ)に火おこして、物語などして集まりさぶらふに、「少納言よ、香炉峰(こうろほう)の雪いかならむ。」と仰せらるれば、御格子上げさせて、御簾(みす)を高く上げたれば、笑はせたまふ。
人々も、「さることは知り、歌などにさへうたへど、思ひこそよらざりつれ。なほ、この宮の人には、さべきなめり。」と言ふ。
〈juppo〉関東地方は雪が降っています。凄く降っているので、電車が止まったり車の運転に支障が出る前に、さっさと帰りたいと思います。焦っています。
平安時代の家屋は、壁で密封されたものではなく、簾(すだれ)だとか格子を立て掛けただけで、風通しがめちゃくちゃ良かったようです。寒いです。寒いので、十二枚も着物を重ねて着るようになった、なんて話はどこでも見られるのでここではしません(してんじゃん)。
そのようにただでさえ寒いのに、雪が降ったりすると格子を上げていつもは雪を見るんだそうですから、その風流さは尋常ではありません。風流命!って感じですね。
風流である平安人であるならば、雪と言えば「香炉峰の雪」、「香炉峰の雪」と言えば「簾を上げて見る」、というように連想出来てこそ一流、というような話です。
昔、中国の白楽天という詩人が「香炉峰の雪は簾を撥(かか)げて看(み)る」と詠んだので、中宮定子が清少納言にその一節を思いつくかしら?と謎掛けをして、見事に清少納言はそれに答えた、という訳です。簾を上げれば香炉峰が見える、という訳ではないんです。
最後はここでも、「それでみんなが『さすが〜』って言うのよ。」と、あからさまな自慢で終わっています。
自慢話が多くて、清少納言ってちょっとナルだったのかな?とも思えますが、正直に書いて、千年経ってもこうして「凄い人だったんだな」と思ってもらえるのですから、書いたもん勝ちですよね。自慢したいことはどんどん、包み隠さず、堂々と書きましょう、皆さん。
では、私は雪の中を帰りまーす。
2008年02月03日
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いつも楽しく拝見させていただいています。
我が家のブログも先日一周年でしたから、ちょうど同じころに始めたんですねぇ。
今回の「雪のいと高う降りたるを」も面白く読ませてもらいました。
イラストも上手いし、オチも笑えました。絶妙ですね。
ところで、我が家の記事にまたまたリンクを貼らさせて頂きました。不都合があれば削除しますので仰って下さい。
また、ウチのブログに常設のリンクを貼らせてもらいたいのですがいかがでしょうか?。
また、寄らせていただきます!。
私もちょうど、家族のブログを拝見していて「あ〜、同じ頃に開設したんだぁ☆」と、思っていました(^o^)
リンクを貼っていただけるなんて感激です(もちろん、記事中にリンクしていただくのも、嬉しく思っておりますよ〜)。
是非よろしくお願いします。こちらでも貼らせていただいてよろしいですか?
更新頻度は雲泥の差ですが、これからもお互い末長くブログを続けていけるといいですねo(^-^)oよろしくお願いします!
早速リンクを貼らせて頂きました。
「高校古文こういう話」には、リンク欄が無いので、相互リンクは無理なんだろうなぁって勝手の思っていましたが、今見たらリンク欄が新設されていて最初のリンクに我が家のブログが貼られていて家族で感激していました。
あ、このコメントを書いているうちに我が家のブログに柴田さんのコメントが!(笑)。
これからもよろしくお願い致します!。
スミマセン(^^;)勇み足で承諾を待たずにリンク貼らせていただいちゃいました。
このブログを隅々まで見てくださっていて、恐縮です。
連休は東京方面はまた雪になりそうです。こちらでは少しの雪でもおたおたしてしまう上、私は全然休みじゃないので積もったりしないでもらいたいと、心から願う週末です。