〈本文〉
これも前(さき)の世にこの国に跡を垂(た)るべき宿世(すくせ)こそありけめ。はや帰りて公にこのよしを奏せよ。』と仰せられければ、言はむかたなくて、のぼりて、帝に『かくなむありつる。』と奏しければ、『言ふかひなし。その男を罪しても、いまはこの宮をとりかへし、都にかへしたてまつるべきにもあらず。竹芝の男に、生けらむ世のかぎり、武蔵の国を預け取らせて、公事(おおやけごと)もなさせじ。ただ宮にその国を預けたてまつらせたまふ』よしの宣旨(せんじ)下りにければ、この家を内裏(だいり)のごとく作りて、住ませたてまつりける家を、宮など失せたまひにければ、寺になしたるを、竹芝寺といふなり。その宮の産みたまへる子どもは、やがて武蔵といふ姓(しょう)を得てなむありける。それより後(のち)、火焼屋(ひたきや)に女はいるなり。」と語る。
〈juppo〉3月中、めいっぱいおつき合いいただきました『竹芝寺』も今回でお終いです。いや〜、ハッピーエンドで良かったですね最後に、その後は火焼屋には男でなく女を置くようにした、というオチがついているのもいいですね。この姫はしょうがないとして、今後さらに使用人に姫をさらっていかれてはたまらない、ということなのだと思いますが、女の使用人と王子様が恋に落ちるのはいいんでしょうか。
長々と続いたので、そういえばこの話は筆者(菅原孝標の娘)が武蔵の国の地元の人に、竹芝寺の由来を聞いている場面から始まったんだったな、とやっと思い出した感じがしますよね。
日記なのに、旅の途中で聞いた物語を丸まる書き残しているところが面白いと思います。物語好きの筆者ならでは、ですね。



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