2008年06月01日

にくきもの�

枕草子、二十八段です。
〈本文〉
 にくきもの。急ぐことあるをりに来て長言(ながごと)するまらうど。あなづりやすき人ならば、「のちに。」とてもやりつべけれど、さすがに心恥づかしき人、いとにくくむつかし。
 硯(すずり)に髪の入りてすられたる。また、墨の中に石のきしきしときしみ鳴りたる。
 にはかにわづらふ人のあるに、験者(げんざ)求むるに、例ある所にはなくて、ほかに尋ねありくほど、いと待ち遠に久しきに、からうじて待ちつけて、喜びながら加持(かじ)せさするに、このごろ物の怪(もののけ)にあづかりて、困(こう)じけるにや、いるままにすなはちねぶり声なる、いとにくし。

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〈juppo〉『枕草子』でおなじみ「〜もの」シリーズです。「にくらしいもの」を並べ立てている章ですが、訳しているとどうしても「ムカつく」になってしまうのです。

 「ムカつく」ことってよくありますよね。特にこの時期に多いのでしょうか。五月病などと言いますが、思っていたことと違う、気持ちが乗らない、などもやもやしてしまう季節なのかも知れません。

 「山程ムカつくこと」は毎日あるけど、「腐ってたらもうそこで終わり〜るんるん」と歌っていたのはかつてのSMAPですが、皆さんもムカつく日々を乗り越えて、たくましく生きていってくださいね黒ハート


 「ムカつく」という言葉が今の意味で使われているのを、私が初めて知ったのは中学一年の時です。その時まで「ムカつく」という語は「胸がムカムカする、気持ち悪い」という意味だけで使われていました。

 じゃあそれまで「ムカつく」ことは何と表現していたのかというと、「頭に来る」と言っていたのだと思います。そのままですね。


 さて、験者とは、修行を積んでお払いなどをする人のことです。陰陽師もこの類いです。

 この時代、病気になるのは「もののけ」のせいだと思われていました。「もののけ」は時に生き霊だったりするんですが、そういう得体の知れないものが取り憑いて、具合を悪くしているのだという理論です。

 こういうやり方で験者に都合がいいのは、病人が助かっても助からなくても「もののけ」のせいに出来るところですね。


 このころ、伝染病か何かで病人が続出し、験者が忙しかったらしいのです。
 修行は積んでいても「もののけ」頼みの業種ですから、プロ意識の程が窺える訳で、病気の流行に便乗して駆けずり回っているのでしょう。居眠りする程忙しい、まさに掻き入れ時なんですね。
posted by juppo at 23:16| Comment(0) | TrackBack(1) | 枕草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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Tracked: 2008-06-16 19:50