〈本文〉
間(あひだ)、成方言はく、「身のいとまを賜(たま)はりて、この笛を持て参るべし」と言ひければ、人を付けて遣(つか)はす。帰り来て、腰より笛を抜きいでて言ふやう、「これ故にこそかかる目は見れ。情けなき笛なり」とて、軒のもとにおりて、石を取りて、灰のごとくに打ち砕きつ。大夫(だいぶ)、笛を取らんと思ふ心の深さにこそ、さまざま構へけれ、今は言ふかひなければ、戒むるに及ばずして、追ひ放ちにけり。後に聞けば、あらぬ笛を大丸とて打ち砕きて、本(もと)の大丸は、ささいなく吹き行きければ、大夫のをこにてやみにけり。初めはゆゆしくはやりごちたりけれども、つひに出(い)だし抜かれにけり。

〈juppo〉今回、お話を二つに切るにあたって、本文を文の途中で切り離してしまいました。前回の終わり「・・・乗せんとする」と今回の冒頭「間、・・・」は実は一続きの文です。
絶体絶命の成方は見事な機転で窮地を逃れましたね。「灰のごとく」が文字どおり「まるで灰のように粉々に」という意味なんですけど、万が一、笛を砕いてしまった結果もっと酷い罰を受けていたら・・・という可能性は頭をよぎらなかったのでしょうか。それくらい、いちかばちかの賭けだったのでしょうか。
さて、このお話から皆さんはどのような教訓を得るでしょう。「他人の物をやたらと欲しがるな」とか「人を騙してはいけない」といったことが標準的な教えなのだと思いますが、私が受けた印象は、何と言っても「アホは哀しい」ということです。
「をこ」は他の古典作品にも出て来る語で、「ばか」という意味です。
同じ人を騙すのでも、もっと頭を使えよ!・・・と、思いますよねぇ?
成方の方が一枚上手だっただけなのですが、やり方がまずく、してやられてしまったばっかりに、こうして千年近く経っても「アホ」呼ばわりですからねー。哀し過ぎます。
皆さんもくれぐれも気をつけて、アホになるのは3の倍数と3のつく数字の時だけにしておきましょう。



頭いいですね☆
私だったらそんな事考えられなかったと思います
兎に角良かったヾ(´▽`*)ゝ
ありがとうございます♪嬉
いやいや、ぴかちゃんだったらもっと鮮やかな手口で乗り切るんじゃないかな、と思いますよ!☆ヽ(▽⌒*)
あんまりこんな目にはあいたくないですけどね〜(^o^;