2008年10月16日

除目に司得ぬ人の家(すさまじきもの)@

枕草子、第二十五段です。
〈本文〉
 除目(じもく)に司(つかさ)得ぬ人の家。ことしは必ずと聞きて、早うありし者どもの、ほかほかなりつる、いなかだちたる所に住む者どもなど、皆集まり来て、いで入る車のながえもひまなく見え、物まうでする供に、われもわれもと参り仕うまつり、物食ひ、酒飲み、ののしり合へるに、果つる暁まで門(かど)たたく音もせず。怪しうなど耳立てて聞けば、先追ふ声々などして、上達部(かんだちめ)など皆いでたまひぬ。物聞きに宵(よい)より寒がりわななきをりける下衆男(げすおとこ)、いと物憂(う)げに歩み来るを、見る者どもはえ問ひにだにも問はず。


jimoku1.jpg
〈juppo〉『上にさぶらふ御猫は』がまだ全然途中なのですが、リクエストをいただきましたので急遽この作品を差し挟ませていただきます。

 途中で差し挟んだ上に中途半端なことには、これは『すさまじきもの』という段の後半三分の一くらいの内容です。

 実は『すさまじきもの』は以前ちょっと描きかけていたのですが、正直描いていてつまらないので2コマくらいでやめてほったらかしてしまいました。(しかもそれがどこに行ったか分かりませんたらーっ(汗))真面目に描いておくべきでした。ホントにすみません。

 現代では「凄まじい」という形容詞は、「凄まじい食欲」とか「凄まじくブサイクなヤツ」などと、「凄い」の最上級的に使っている語ですよね。

 この当時の「すさまじ」は、なんとそういう意味ではなく、「興醒めのする」とか「がっかりする」という意味だったんですって。

 つまりこの段は、「がっかり」なことを並べ立てた話ですので、描いていてつまらないと思う私の気持ちもお察しいただけると思う訳です。いえ、全然察していただく必要はないんですけど。この段はいずれ改めて最初からちゃんと描きますので〜ふらふら


 この章は、期待していたのに地方の官吏に任命されなかった人の話です。割とそのままです。

 「除目」というのがその任命式のことで、「司」というのは「国司」などの役職のことです。「国司」は今の県知事くらいの人のことだそうです。

 無事に任命されれば、どこかの国に派遣されたりして『土佐日記』の貫之さんみたいな生活を送るところなのでしょうが、残念な結果に終わった模様です。

 任命されなかったことより、期待して大勢集まって来て大騒ぎしていたのに・・・というあたりに、真の「がっかり」があるのですね。

 車の「ながえ」というのは牛車をひく牛につける棒の部分のことです。「先追ふ声々」とは、行列の先頭を歩く公家の人が、下を向いて「おーしー」とか言ってたんだそうです。記録か何かが残っているのだと思いますが、どうしてそんな昔のことが分かるのか、不思議ですよねー。

 
 まだほんの少しあるので、続きます。『御猫』の続きは、さらにその後でexclamation×2
posted by juppo at 21:55| Comment(10) | TrackBack(1) | 枕草子 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
リクエストに応えていただきありがとうございます!
内容がよく解らなかったので、またまた助かりました★
《がっかり》にもいろいろあるんですね〜(;・・)
Posted by ちょこ at 2008年10月21日 22:43
ちょこ様

まだ続きがあるのですが、なかなか更新出来なくてスミマセン(><;)
仕事が決まりそうで決まらなかった・・というだけの話なんですよね。期待するからがっかりするわけで。大勢で集まって何をやっているのだ?という感じもしますよね。
Posted by 柴田 at 2008年10月21日 22:58
いつも考査の直前に見させていただいています。
国語全般が苦手なので、普通の訳だけでは理解できないのです。
このようにイラストを混ぜていただけると分かりやすいです。
ちなみに、安養の尼の小袖をここで見てテストを受けた時、70点弱とれました。いつも欠点ぎりぎり逃れくらいだったのであの時は古典担当の教師にほめられました。今日だけは調子に乗っていいぞと。
とにかく助かっていますありがとうございました。
Posted by joker at 2012年05月15日 04:34
jokerさま

早朝から、嬉しいコメントをありがとうございます。
このブログが少しでもお役に立てるなら何よりです。
でも、ここでは本当に内容をざっくりマンガにしてるだけなので、テストで点が取れたのはjokerさんの実力ですよ!

それにしても、今日だけは調子に乗っていいなんておっしゃる古典の先生、素敵ですね。
Posted by 柴田 at 2012年05月15日 09:40
どうも初めまして!

今回古文のテスト範囲が「すさまじきもの」と「中納言参りたまひて」で、どちらも訳は出来るのですがもっと理解・イメージを深めたいと思っていろいろ調べてて、「中納言参りたまひて」を調べてたらこのサイトにたどりつきました。

漫画を見て、すごいなぁ!と思いながら読んで、納得しました。
そしてついでに「もしかして、すさまじきもの の漫画もあるのかな」と思って検索したら偶然なことに見つかって、しかもちょうど除目のところを理解したかったので、ピッタリでした。

早速漫画を見たのですが、下男の状況、お供の大騒ぎ、などがスッキリ分かってよかったです。

ただ、それでもちょっと疑問があるので質問させてください。
テスト直前ではあるのですが、柴田さんの返信の速さを信じて、書きます(笑)。

1)漫画の1コマ目の左下にいる女性は何ですか?あと「…もがっかり」の意味も教えてください。
2)3コマ目の、牛車がつながっている様子の絵は、何を意味しているのですか?その目的がよくわかりません。
3)6コマ目に「公卿のみなさんは帰っていってしまった」とありますが、どういうことですか?公卿は上達部など地位の高い人だということは分かります。彼らは、国司になったことが決定した人の家に向かって報告しにいく人達ということでしょうか?
4)1コマ目で家の中にいる人、6コマ目で「おかしいな」と言っている人、7コマ目で「ちょーがっかり」と言っている人、の3人は全部同じ「下男」ですか?もしそうだとしたら、下男はどのタイミングで家から外に出たのですか。
5)5コマ目にいる下男のお供達は、具体的にどこにいるのですか?下男の家の近くのまた別のどこかですか?よくわからないので教えてください。
6)6コマ目の「おーしー」という言葉自体には意味があるのですか?はっきりとは分かってはいないのですか?

以上です。質問が多くてすいません。
細かいことも分からないとモヤモヤしてしまうタイプなので、もし誤解しているところとかありましたら厳しく指摘していただけると嬉しいです。ちなみに古文のテストは火曜日なので、今日中に答えて頂けると非常に嬉しいです!
Posted by スイショウ at 2012年07月01日 04:24
スイショウ様

分かりずらい漫画を描いてご迷惑をおかけしてしまったようですね。本当に申し訳ありません。ですが、これが私の実力で当ブログの限界ですので、より分かりやすい資料をお求めであるなら、他をお探しになってみてはいかがでしょうか。

ひとまず、ご質問にお答えいたします。
1)清少納言のつもりです。
『除目に司得ぬ人の家』は「すさまじきもの」の後半部分ですので、ここまでにも「がっかりすること」の例がいくつか書かれています。今回紹介している人の例「もがっかり」という意味だという解釈で描きました。
2)牛車がつながっている様子の絵は牛車がつながっている様子であって、それ以上でもそれ以下でもありません。本文の「いで入る車のながえもひまなく見え」という箇所を絵にしたまでです。目的と言われても、別に目的はありません。ご質問の意味がよく分かりません。
3)公卿のみなさんとは、除目の式を執り行うために集まってきた役人のことです。もう全員任命し終って帰るところです。ということは、この主人公はこれ以上待っても任命されない、ということです。
4)この質問までくると、ひょっとして真剣に答える必要はないのかな、という疑問も生じてくるのですが、下男は7コマ目で初めて登場しています。1コマ目の男は「除目に司得ぬ人」その人、6コマ目の人もその人でもよいですが、その人を訪ねてきた人のうちの一人くらいに思っていただければ幸いです。
5)そういう訳で、5コマ目は下男でも下男の家でもありません。4コマ目の続きです。
6)知りません。この記事を書いた時点で記事に書いた内容以上の情報を持ち合わせません。

以上です。本当にすみませんでした。
Posted by 柴田 at 2012年07月02日 00:08
早急な返信ありがとうございます。

「除目に司得ぬ人」と「下男」を区別していませんでした。
柴田さんの説明で、ようやく登場人物の区別が出来ました!

最後に、1つだけ疑問点が残ったので聞かせてください。(返信は遅くても大丈夫です)

5コマ目の3人と、最後のコマの3人は同一人物ですか?
4コマ目と5コマ目が同じ場面ということは、5コマ目の3人は、「除目に司得ぬ人」の家ではない別の場所で飲み食いをしているんですよね。
そして最終コマの3人は、「家の者」たちの反応が描かれていることから、家にいた人達だということになります。

もし5コマ目の3人と、最後のコマの3人が別々であるとしたら、
5コマ目で飲み食いしていた人はそこ(4〜5コマ目)にしか登場していなくて、結果的に国司に任命されたのかということは彼らはまだ知らない、という感じでいいのでしょうか?

この話は「せっかく国司任命を期待して飲み食いしたり騒いでいた人達」が、「がっかりする」、そしてそれが「興ざめである」というようなことが言いたいと思うので、個人的には、飲み食いしていた人達も、任命されなかったという結果を聞いてがっかりした、というような場面があったほうが納得がいきます。

また長文になってしまいましたが、もしお分かりでしたらお答え頂けると嬉しいです。
Posted by スイショウ at 2012年07月03日 04:48
スイショウ様

説明すればするほど、理解の妨げになっている気がします。納得がいかないのでしたら、これ以上ここの作品を見るのはやめた方がいいと思います。

私の作品が、スイショウさんの感性に合わないのだと思います。 

4コマ目と5コマ目が同じ場面だなんて言ってません。5コマ目は4コマ目の続きだと言ったのです。
お参りのお供に「お仕えしたり」の続きに「モノを食い酒を飲み」とあったら、お参りした後で屋敷で飲み食いしているんだと解釈するのはそんなに難しいことでしょうか?
また、「除目に司得ぬ人の家」というタイトルの作品ですから、ここに描いた家は全部その人の家です。
集まっている人は牛車がつながって見えるくらい大勢いるはずなので、いちいち一人ずつキャラを設定して描いていません。5コマ目と最後の3人が同一人物かどうかは見る方の解釈にお任せします。

基本的に古文を直訳した内容を絵にしていますので、読む方が納得しようとしまいと、本文にない場面は絵に出来ません。

絵に描いたものをどう解釈するかは見た方の自由です。

描いてあることの全てを、見た方全てに理解してもらわなくてもいいと思って描いています。

まして「個人的には、飲み食いしていた人達も、任命されなかったという結果を聞いてがっかりした、というような場面があったほうが納得がいきます。」というような、誰かの個人的な満足のために漫画を描かなくてはならないということはないと思います。


もうこれ以上ご質問にお答えする気持ちはありません。
立ち寄っていただいてありがたく思っていますが、どうか他の、納得できるサイトをお探しになってください。

Posted by 柴田 at 2012年07月04日 00:10
すご分かり易いです!ありがとうございました(^^)
Posted by 沙織 at 2014年10月09日 22:44
沙織さま

お役に立てましたのなら嬉しい限りです(^.^)
これからも頑張ります〜。
Posted by 柴田 at 2014年10月09日 22:58
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Tracked: 2008-10-18 11:54