2010年02月02日

いづれの御時にか�

続きです。
〈本文〉
 上達部(かんだちめ)・上人(うへびと)なども、あいなく目をそばめつつ、いとまばゆき人の御おぼえなり。唐土(もろこし)にも、かかることの起こりにこそ、世も乱れあしかりけれと、やうやう天(あめ)の下にもあぢきなう、人のもて悩みぐさになりて、楊貴妃(やうきひ)のためしも引きいでつべくなりゆくに、いとはしたなきこと多かれど、かたじけなき御心(みこころ)ばへのたぐひなきを頼みにて交じらひたまふ。
 父の大納言は亡くなりて、母北の方なむ、いにしへの人のよしあるにて、親うち具し、さしあたりて世のおぼえはなやかなる御方々にもいたう劣らず、何ごとの儀式をももてなしたまひけれど、とりたてて、はかばかしき後見(うしろみ)しなければ、事あるときは、なほよりどころなく心細げなり。

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〈juppo〉まだ光源氏は誕生していませんね。
前回は女の嫉妬が渦巻いていましたが、今回は宮中の貴族の方々の間にも、ふたりの交際を良しとしない風潮が出現しています。

 「唐土にも」とか「楊貴妃のためし」などと引き合いに出されているのは、唐の時代、中国で玄宗皇帝が楊貴妃を愛するあまり政治を怠って世の中が乱れた、という史実を皆さんが思い出して、「これじゃあ玄宗皇帝の二の舞だよねー。」と囁きあっているということなんですね。

 そんな四面楚歌の境遇にある上に彼女には父親も後見人もいない、というのが後半の内容です。
 冒頭から「いとやむごとなき際にはあらぬ」と、それほど高い身分じゃないことは明かされていましたが、ここで多少それが詳しく語られています。父は大納言で母も由緒ある家柄ではあるけれど、今は片親で後見人もいない、というのがこの時代にはちょっと頼りないバックグラウンドだった訳ですね。

 同情を禁じ得ない身の上です。帝に寵愛されているだけなら同情されませんからね。そこそこの身分にして読者に親近感を持たせ、世間からの冷たい損線を浴びせて同情も誘う。

 これから長編の物語を書こうとする時に、こういう紹介のし方は読者を引き付ける上では最高の書き始め方ですよね。

 彼女がそれ以上不幸になるにせよ、一転して幸福になるにせよ、「それで??」と先を読みたくなる構造になっているんです。

 千年もベストセラーであり続ける物語だけのことはあります。


 ところで昨日、関東地方は雪でした。昨日のうちにこの原稿を描こうと思っていましたが、雪が積もると帰れなくなるので、全てをほったらかして帰宅しました。
 まだ雪は残っていますが交通に支障はないので、今日仕事場に来て更新しました。でも帰る頃には車が凍り付いていそうです。


 この章はあと1回続きます。
posted by juppo at 23:23| Comment(6) | TrackBack(1) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おはようございます。

源氏物語! 期待していました。
ところで、3コマ目の「陽貴姫」は「楊」ではないでしょうか?

すでにお気づきでしたらお許し下さい。
Posted by Kamada at 2010年02月03日 07:37
kamada先生

いつもありがとうございます!

…全然気づいておりませんでした〜(><;)
その後、記事中に自分で「楊貴妃」とタイピングしているにも関わらず…。
漢字自動変換機能に頼り過ぎるとこういうことになる…というよりただの勉強不足ですね。

こっそり直しておきまーす!!
Posted by 柴田 at 2010年02月03日 17:40
こんにちは!
うふふ、源氏物語、いいですね。
ところで、解説の中の「光源氏」が「光存氏」になってますよ。
すでにお気づきでしたらお許しください(^-^)

関東地方に雪が降ると大変ですね。
車も靴もすべると思うので、気をつけて下さいね。
Posted by はは at 2010年02月06日 18:16
はは様

あっ、ホントだ!→光存氏。
ありがとうございます!
先日、マンガ中の「楊」の字を直した時に、ファイルの保存に手間取っている間になぜか記事が文字化けだらけになったので、逐一書き直したのですが、その時見落としたようです(^o^;
明日直しま〜す(←呑気)。

当ブログは、このように皆さんの力で作り上げているブログです(^-^)
Posted by 柴田 at 2010年02月06日 18:32
続編ありがとうございます!
この続きも、体に無理のないようおねがいします><笑
Posted by tomas at 2010年02月06日 20:10
tomas様

コメントありがとうございます!

私の体のことまでご心配いただいて、恐縮です!(><)

今のところ健康なので、なるべく早めに描きたいと思います!
Posted by 柴田 at 2010年02月06日 20:32
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