〈本文〉
木曾三百余騎、六千余騎が中を、縦様(たてさま)・横様(よこさま)・蜘蛛手(くもで)・十文字(もんじ)に駆け割つて、うしろへつつといでたれば、五十騎ばかりになりにけり。
そこを破つて行くほどに、土肥次郎実平(といのじろうさねひら)二千余騎でささへたり。それをも破つて行くほどに、あそこでは四、五百騎、ここではニ、三百騎、百四、五十騎、百騎ばかりが中を、駆け割り駆け割り行くほどに、主従五騎にぞなりにける。五騎がうちまで、巴は討たれざりけり。木曾殿、「おのれはとうとう、女なれば、いづちへも行け。われは討死せんと思ふなり。もし人手にかからば自害をせんずれば、『木曾殿の最後のいくさに、女を具せられたりけり。』なんど言はれんことも、しかるべからず。」とのたまひけれども、
〈juppo〉昨日、一昨日と凄い風が吹いていましたね。あの風で関東一円の杉花粉が飛び去ってくれていたらいいのですが。
木曾殿の軍勢も、風前の灯になってきました。今井四郎とたったふたりになるまで、もう一歩です。
巴さんが久しぶりに登場しました。こんなに命知らずの突撃の中でも、ふたりは一緒だったんですね。途中でどうかなってしまったら、なんて考えないのでしょうか。それも運命だと覚悟は出来ているのでしょうか。
そこまで一緒に来ておいて、五騎だけになった時点でやっと「どこかへ逃げろ」と言う木曾殿です。
「おのれはとうとう」の「とうとう」は、「遂に」という意味ではなく、「とくとく」が変化したもので「早く早く」という意味です。
そんなことを今さら言われたからといって、「じゃあ」と去っていくことが出来るでしょうか?特にこの、巴さんが。
とは言え、物語の後半で木曾殿の部下は今井だけしか残ってないことは既にこのブログでは明らかになっていますので、後は巴さんの退場シーンを残すのみです。
そのシーンがあと一回、続きます。
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大学生ですが大変お世話になりました、、、
ありがとうございました!
大学生ですが大変お世話になりました、、、
ありがとうございました!
コメントありがとうございます!大学生の方にも見ていただいているとは嬉しいです(^-^)
同じコメントを2通いただいてしまいましたが、名前が微妙に違うので2通とも残しました。
2倍に感謝です。