〈本文〉
成範民部卿(しげのりのみんぶきゃう)、事ありて後、召し返されて、内裏(だいり)に参られたりけるに、昔は女房の入立(いりたち)にてありし人の、今はさしもなかりければ、女房の中より、昔を思い出(い)でて、
雲の上はありし昔に変らねど見し玉垂(たまだれ)の内やゆかしき
と詠みて出だしたりけるを、返事(かへりごと)せむとて、燈炉(とうろ)の際(きは)に寄りけるほどに、小松のおとどの参り給ひければ、急ぎ立ちのくとて、燈炉の火のかきあげの木の端(はし)にて、や文字をけちて、そばにぞ文字ばかりを書きて、御簾(みす)の内へさし入れて出でられにけり。女房取り見るに、文字一つにて、返しをせられたりけるを、ありがたかりけり。

〈juppo〉古文の内容というのは、語句の意味やら説明を参照しながら読み進め、意味がだんだん分かってきて「なるほどー!」となるんですけど、この話はその「なるほどー!」度がかなり高かったです。面白い話です。
ただ、漫画に描いただけでは全てを説明するのはちょっと難しいです。
民部卿というのは民部省のお役人です。民部省とは今の市役所みたいなところらしいです。
その民部卿の成範さんの身の上に起こった「いろいろ」というのは、一言でいうと平治の乱のことだそうです。
平治の乱については日本史の時間に勉強していただくとして、成範さんのお父さんがその平治の乱の原因となったクーデターのターゲットだったので、息子である成範さんたちも捕えられてしばらく追放されていたそうなんですよ。
ほとぼりが冷めたので、久しぶりに宮中に上がることが許されたわけですが、以前は出入りしていたところに今は入れないとか、今は身分が下なので小松のおとどには顔を合わせにくい、など多少の制限があるんですね。
小松のおとどこと平重盛は、清盛の長男で、平治の乱で功績を上げたとかで、成範さんには簡単に会うことができないほど偉い人になっているようです。
そのへんの背景が分かれば、あとはそんなに難しくないでしょうか。
会うわけにいかない小松のおとどがやって来たので「早く帰らなきゃ」と急いで歌を書き換えて返歌にしたら、そのとっさの対応ぶりと歌の出来が意外にすばらしかったということなんですね。
「や」を消して「ぞ」と書き換えただけで、歌の結びが「見たいですか」から「見たいですよ」に変身する、ということだけでも分かっていればテストで15点くらい取れるかと思います。後は漢字の練習でもしておけば楽勝かと。
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「や」を男は何に書き直したのか、と問う問題がありました。
きっと強意にするんだろうなと思って、「ぞ」を選択したところ正解でした。
面白いと思った問題だったので、よくこの話は覚えています。
どなたか早稲田の問題を解いていらっしゃる方がいるのか、
リクエストで描かれた漫画に早稲田の過去問をよく見かけますね。
えっ、えっ、そうなんですか?
知らない間にレベルの高いマンガを描いてしまっていましたか?
最近のリクエストは、教科書に載っている作品でテスト対策にいただくモノが多いようです。
私がだらだら描いているので、テスト対策になりゃしない、てことになっていそうですが(・・;)
明日テストがあって、なんだか曖昧だったんですけど
めっちゃわかりやすかったですっ(^O^)/♪
漫画も面白いしステキですっ★
ありがとうございましたっ☆
テスト勉強、お疲れ様ですっ!
内容が分かれば、なるほどー!な話ですよね〜(^-^)
良い点が取れますように。
また覗きに来てください。
平治の乱の記述についてですが、信西と清盛親子は仲間同士ではないでしょうか?平治の乱の経緯、平家と成範の関係がおかしいように思います。
ご指摘ありがとうございます。
実は平治の乱について、この記事を書いた当時も今も全く知識がなく、訳本の解説など参考にしたのですが、間違っておりましたか?「親の仇」などと表現したのがいけなかったのでしょうか。
wikiなんかでそれぞれの人物や平治の乱について、ざっと見るだけでも概要はつかめると思います。一度、参照なされてはどうでしょうか?
また、民部卿を市役所というのは少々乱暴であるかのように思います。確かに戸籍や税金関係もつかさどってはいましたがね。
民その部省の長官が民部卿ですが、かなり権力のある職です。それに成範自身はこの時期すでに上達部だったので、民部省のお役人というイメージでは少しそれるようにも思います。
私は柴田さんのブログの内容を批判しているわけではないので、そこは分かってくださいね。なかなかおもしろいな、思ってたまに拝見させてもらってます。より良いものになるようにと思ってコメントしただけですので。