そういう訳で、続きです。
〈本文〉
「それにつけても、憂(う)き世の定めなき思ひ知られて、あはれにこそはべれ。屍(かばね)になりて後(のち)まで、
秋風の吹くたびごとにあな目あな目小野とは言はじ薄(すすき)生(お)ひけり
など詠みてはべるぞかし。広き野の中に薄の生ひてはべりける、かく聞こえたるなりけり。いとあはれにて、その薄を引き捨てはべりける夜の夢に、かの頭(かしら)をば、『小野小町と申す者の頭なり。薄の、風に吹かるるたびごとに、目の痛くはべるに、引き捨てたまひたるなむ、いとうれしき。この代はりには、歌をいみじく詠ませたてまつらむ』と見えてはべりけるとかや。かの夢に見たる人は、道信(みちのぶ)中将と人の申しはべるはまことにや。誰かは、さることあるな。色をも香をも心に染(し)むとならば、かやうにこそあらまほしけれ」
〈juppo〉小町さんのその後です。
「老いの果て」と言ってたので、てっきり悲惨な晩年が語られるのかと思ったら意外にも死後の話でした。
死体になった後でまで歌を詠んでいるのも怖いですが、その内容がまた恐怖です。ドクロの目から薄が生えて、風が吹くと痛いとか・・・想像するだけでぞくぞくしますね。
相当おどろおどろしい内容なのですが、私が描くとこれっぽっちも怖くなくなってしまうのは何故でしょう。
まぁ、一種の才能かな、と思うことにします。
余談ですが、私は恐がりではありません。『リング』でも『REC』でも夜中に一人で観られます。
薄を抜いてくれた道信中将という人は、これまた歌人であったそうなので、小町さんの呪い、いや、ご利益で本当に歌が上手く詠めるようになったのかも知れません。でも、23歳で亡くなってるらしいので、何かやはり魅入られてしまったということなのかも知れません。そんな後日談まで怖いです。
ひとつだけ、描いた後で「あ、しまった」と思った箇所があります。
亡くなった人の着物まで、いつもの癖で右前合わせで描いてしまったんです。
直そうかな、と思ったのですが、亡くなった人には左前に着せるとして、「幽霊はどうなんだろう」というのが定かでなかったのでそのままにしました。
そのへんの霊界事情にお詳しい方はご一報ください。
2011年01月27日
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ましてすすき生えてる髑髏なんて実際に見たら・・・
でも、柴田さんの漫画でみると恐いというよりも癒されます!
ここまでして頂いたのだから、明日はちゃんとやります!
唐突にリクエストして忙しいところ、ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。明日で古典とはしばしの別れとなると思います。一生懸命勉強します!それでは!
間に合って良かったです。お役に立てると良いのですが。
いつもリクエストへの対応にはグズグズしてしまうんですけど、今回は古典最後のテストということと、受験への応援の気持ちも込めて、実力以上に頑張ってみました。
やれば出来るじゃん!と自信が持てました。こちらこそ感謝しています(^^)v
今後は勉強目的ではなく、是非脱力しにブログを覗きに来てください。
あと少しの春まで、身体に気をつけて頑張ってくださいね!
もともと古典には親しんでいるのですが、柴田さんの絵によってさらに面白くなりました!
当方も大学受験を控えておりまして、ぜひ参考にさせていただこうと思います。
素敵なブログ、ありがとうございます^^
はじめまして!ようこそいらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。
大学受験、大変だと思いますが頑張ってください。毎日寒いので、体調だけは気をつけて維持してくださいね。
受験が終わっても、古典がお好きなのでしたらこれからもブログを続けてご覧になっていただければ、と思います。
よろしくお願いします。
そして、これは漫画だからよけい思うのでしょうが、このお話をしているさまが、現代の女子会みたいになんだかゆるい感じがして、無名草子って、おもしろそうですね。また何か見てみたいです(ここで読むことしか考えてない… ^^;)
私も『無名草子』は、この作品のためだけに図書館で借りて、ざっと見ただけですが、確かに女子会ならではの評論で綴られている感じで面白そうでした!
他の部分も機会があれば描きたいと思います。
教科書には様々な古典作品が載ってるんですねぇ。
恐ろしいというか何というか…
死んで出てくるなら恨みがない限り 肉付きで出てきてほしいです
「私 骸骨で〜す」なんて!
昨日中学最後の定期テストが終わり、息抜きにこのサイトにお邪魔しております.
中学最後のテスト、お疲れ様でした!
思う存分、息抜きしていってください!
確かに、夢とは言えいきなり骸骨で出て来られたら、引きますよね〜。
お礼なら、生前の姿でお願いしたいですね。