〈本文〉
正月(むつき)ばかりに、二三日(ふつかみか)見えぬほどに、ものへ渡らむとて、「人来(こ)ば取らせよ」とて、書きおきたる。
知られねば身を鶯(うぐいす)のふり出でつつ
鳴きてこそ行け野にも山にも
返りごとあり。
鶯のあだにて行かむ山辺(やまべ)にも
鳴く声聞かばたづぬばかりぞ
などいふころより、なほもあらぬことありて、春、夏、なやみ暮らして、八月(はづき)つごもりに、とかうものしつ。そのほどの心場へはしも、ねんごろなるやうなりけり。
さて、九月(ながつき)ばかりになりて、出でにたるほどに、箱のあるを手まさぐりに開けて見れば、人のもとに遣(や)らむとしける文(ふみ)あり。あさましさに、見てけりとだに知られむと思ひて、書きつく。
うたがはしほかに渡せる文みれば
ここやとだえにならむとすらむ
など思ふほどに、

〈juppo〉カテゴリを増やしました。『蜻蛉日記』です。「かげろうにっき」と読みます。
このように、リクエストをいただけばカテゴリも追加していきますので、現在アップされているカテゴリの中に、読みたい作品がないからといってリクエストを躊躇しないでくださいね。リクエストしたからといってすぐにアップするかどうか、は神のみぞ知るところですが。
さて『蜻蛉日記』はカゲロウさんが書いた日記ではありません。書いた人は通例、道綱母という人になっていると思いますが、そういう名前なのではなく、道綱さんのお母さんという意味ですよね。漫画の中で生まれた赤ちゃんが、ずばりその道綱さんです。
そんな名前からも解るように、女性には名もなく地位もなかった時代の女性の、日記です。
「あの人」と読んでいるのは一応夫です。この場面に至るまでに、結婚するとかしないとか手紙のやりとりですったもんだし、男が訪ねてきて話をしてまた帰って行く、なんてシーンが続くんですけど、てっきり言い寄ってきていながらまだ結婚はしてないと思っていたら、なんといつの間にか妊娠してるじゃないですか。
要するに、結婚はしたけれど男には他に女がいる、妻は自分だけじゃない、ということなんですね。平たく言えば一夫多妻だったようです。
その、他の女に宛てた手紙をのうのうと置きっ放しで(女の元に)出かけてしまう男って・・・!な、場面ですね。切ないです。
続きがあります。近日中に。
先日来、母が入院しています。
毎年夏になると、誰かしらが入院する柴田家であります。
今後ぼちぼちお知らせしていこうと思っていますが、とりあえず急に一人暮らしになってしまった現状にとまどいつつ、気晴らしに出来るだけブログもやっていきたいです。7月は!!
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こんにちは。お久しぶりです!
おっしゃる通り、体力的にも精神的にも疲れますねぇ(^_^;)
長期戦になりそうなので、私が先に参ってしまわないよう、ぼちぼちやって行きたいと思ってますが、今は仕事も忙しい時期で、正直大変です。
状況に慣れてくれば、だんだん楽になるかなと思うんですけど。
頑張り過ぎない程度に頑張ります!
突然ですが私は今大学生で、平安時代の作品(蜻蛉日記)についてグループに分かれ発表する授業に参加しています。私たちのグループは父の旅立ちと出産を取り上げて発表することになっているのですが、出産の項目はいい資料が無くて困っているところでした。
そんなとき検索してヒットしたのがこの記事で、分かりやすく、かわいらしいイラストで描かれた四コマ漫画を見つけました。
そこで本題なのですが、是非こちらのイラストを引用させていただけないでしょうか。勝手で一方的なお願いで申し訳ありません…
もしなにかありましたらメールアドレスも記載しておりますのでそちらにご連絡頂けると幸いです。
コメントありがとうございます。
大学の授業での発表、大変そうですね。
私の漫画でお役に立つのであれば、どうぞご利用なさってください!
発表が上手く行きますように。
高校で国語の教員をしている者です。
今授業で蜻蛉日記を扱っているのですが、参考資料を探していたところこちらにたどり着きました。
4コマ漫画がとても分かりやすくて生徒たちに紹介したいのですが、印刷またはプロジェクターで映す形で使用することは可能でしょうか?
よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
はい。授業でご紹介いただいても構いません。プロジェクターで大きく映し出されているところを想像するとちょっと照れくさいですけど。生徒さんたちに楽しんでもらえたら嬉しいです。
よろしくお願いいたします。