2012年05月01日

牛を売る者ありA

後編です。
<本文>
皆(みな)人あざけりて、「そのことわりは牛の主に限るべからず。」と言ふ。
 またいはく、「されば、人、死を憎まば、生(しやう)を愛すべし。存命の喜び、日々に楽しまざらんや。愚かなる人、この楽しびを忘れて、いたづがはしく外の楽しびを求め、この財(たから)を忘れて、あやふく他の財をむさぼるには、志満つことなし。生ける間、生を楽しまずして、死に臨みて死を恐れば、このことわりあるべからず。人みな生を楽しまざるは、死を恐れざる故なり。死を恐れざるにはあらず、死の近きことを忘るるなり。もしまた、生死(しやうじ)の相(さう)にあづからずと言はば、まことのことわりを得たりと言ふべし。」と言ふに、人、いよいよあざける。
ushi2.jpg1ヶ月もサボっていたのに、連休に入った途端連日更新とは、よほどすることがないのだな、と思われてしまいそうですが、その通りです。
 私はがっつり大型連休の予定なので、どこかに出かけようかな〜と思っていたんですけど、ここ最近事故のニュースが多くて、遠出する気持がちょっと萎えてしまいました。
 お出かけの予定がある方は、事故にはくれぐれも気をつけてください。

 家にいたって何があるかわからないんですけどね。
図らずも、今回の作品で兼好法師が言っているのもそういうことのようです。

生死についての話をしているのが兼好さんだとは本文には書かれていないのですが、兼好さんの主張と考えて良いようなので、漫画ではそれらしく描きました。

人間も牛もいつ死ぬかわからないんだから、今ある命に感謝して、その喜びを堪能しましょうよ、て話です。

 実際にテレビで悲惨な事故の映像を見たりすると、それでなくても昨年の震災以来、今日の生が明日もあるとは何の保障もないのだということを意識するようになった方も多いと思います。

 この世に生まれた偶然、今日まで生きている幸運、それだけで凄いことなのだなぁ、と思えたら、日常の些細な不平不満も解消できるかもしれません。

 恐らく「まことのことわり」を得るのはそうたやすいことではないのでしょうけど、少しでもそこに近づけるように、日々の喜びを楽しみましょう、皆さん。

 

posted by juppo at 03:44| Comment(5) | TrackBack(0) | 徒然草 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
帰省中のぴかです♪\(*^O^*)/

命の大切さを説く
素敵な巻ですね(*^^)

私も保育の道に進むものなので
大学でゎ命の大切さをしっかりと学んできたいと思います♪
Posted by ぴか at 2012年05月02日 23:56
ぴかちゃん、

久々の自宅はいかがですか。ゆっくりお過ごしくださいね〜。
保育の勉強をしているのですね!

自分の命を大切に思うのと同様、子供たちにそれを教えるのもまた、大事なことですよね〜。

夢を叶えるために、勉強頑張ってください!!
Posted by 柴田 at 2012年05月03日 04:03
とてもわかりやすくていつも使わせていただいています♪
リクエストをどこでしていいのか分からずここでさせてください(´;;`)
堤中納言物語の貝合をおねがいしたいのですが・・・
ちなみに使っているのは啓林館の新版古典 古典編です
Posted by ひややっこ at 2012年05月05日 16:59
ひややっこ様

コメント&リクエスト、ありがとうございます。

詳しい教科書の情報まで(^o^)恐れ入ります。

なるべくご期待に沿えるよう、頑張ります!
Posted by 柴田 at 2012年05月05日 17:21
ありがとうございます!
こちらこそこんなにはやく返信いただき恐縮です。
よろしくおねがいします!
Posted by ひややっこ at 2012年05月11日 21:12
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