2012年05月21日

貝合せ@

リクエストにお応えします!相変らずぐだぐだですが、新カテゴリ「堤中納言物語」です!!
〈本文〉
 九月の有明の月に誘はれて、藏人(くらうど)の少將、指貫(さしぬき)つきづきしく引き上げて、ただ一人小舍人童(こどねりわらは)ばかり具して、やがて朝霧も立ち隱しつべく、隙なげなるに、
「をかしからむ所の空きたらむもがな。」
と言ひて歩み行くに、木立をかしき家に、琴(きん)の聲(こゑ)仄(ほの)かに聞ゆるに、いみじう嬉しくなりて、
「めぐる門の側(わき)など、崩れやある。」
と見けれど、いみじく築地など全(また)きに、なかなか侘しく、「いかなる人のかく彈き居たるならむ。」と、理(わり)なくゆかしけれど、すべきかたも覺(おぼ)えで、例の聲出(いだ)させて隨身(ずいじん)にうたはせ給ふ。
  行くかたも忘るるばかり朝ぼらけ
  ひきとどむめる琴の聲かな
とうたはせて、「まことに暫(しば)し内より人や。」と、心時めきし給へど、さもあらねば、口惜しくて歩み過ぎたれば、いと好ましげなる童(わらは)四五人許(ばか)り走り違(ちが)ひ、小舍人童・男(をのこ)など、をかしげなる小箱やうの物を捧げ、をかしき文、袖の上にうち置きて出で入る家あり。
kai1.jpg
〈juppo〉『堤中納言物語』というのは、堤中納言の物語ではないんですね。書いた人の名前なのか、単なる間違いなのか、研究上の諸説があるらしいです。
 この「貝合せ」のお話は教科書に載っているそうです。ところが私の手元にある『堤中納言物語』の訳本にはこの章がなかったので、ネットで本文や訳を探し、それを参考にして漫画にしました。

 とにかく長い話です。一話目の今回は「貝合せ」の貝も出てきません。
 「蔵人の少将」というのは個人名ではなく、役職名です。その少将がまだ月の明るい夜明けに子供をつれて何をしているのかというと、どこかイイ女のいる家にお邪魔したい、というような目的でうろついているのです。琴の音が聞こえてくれば、忍び込める穴が家の囲いにあいてないかな〜、なんて期待してるんです。職質必至な怪しさです。
指貫は少将の履いているハカマのことです。
 子供に歌を歌わせていますが、実はここでの「随身」とは小舍人童とは別人なのだそうです。「ただ一人具して」たはずなのに、もう一人いたの!?と、謎の登場人物です。ここにしか出てこないようですし、別キャラにしてしまうと却ってわかりにくいかと思い、子供にそのまま歌ってもらいました。歌といっても和歌なので、子供はそれを詠みあげているということです。

 長いお話なので、まだまだ続きます。貝はいつ出てくるんでしょう。


 さてブログの引越しについて、前回まで途中経過をお知らせしてきましたが、進捗していません。ちょっと壁にぶちあたってしまい、1からやり直すことも検討中・・・な事態で、exciteは閉じてしまうかもしれません。・・・て、まだ閉じてもいない・・・ほったらかしです。

 ところで、時々コメントやメールで全国の学校の先生方から、このブログに掲載している漫画を授業に使っていいですか、というお問い合わせをいただきます。
 基本的に、コピーなどしてお使いになることに何も制限は設けておりませんので、お問い合わせのある都度「どうぞ。」とお答えしています。
 先日また、ある先生からメールでお問い合わせをいただいたのでやはり「どうぞ」と返信したのですが、そのメールが送信できませんでした。
 これを読んでお心当たりのある先生、私の回答は「どうぞ」ですので、どうぞ、授業でお使いになっていただければ嬉しく思います。
 お返事が遅くなった上にこのような形での返信になってしまって申し訳ありません。ここを見てくださっているといいのですけど!
 

 あ、それから、テストに出るといけないので最後にもう一言。
タイトルの「貝合せ」の読みがなは「かいあわせ」ではなく、「かひあはせ」です。

posted by juppo at 03:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 堤中納言物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なかなか伊勢物語 源氏物語のようにすんなりモテることゎできないのですね><
やっぱりイケメンゎ別格なのかぁ…(笑)
Posted by ぴか at 2012年05月25日 01:42
ぴか様

本当にそうですねー。

この少将の場合は、淡い期待で抜け穴を探したり、子供に歌を歌わせたり、苦労してますよね(^o^;)

肉食ならではの苦労ですね。
Posted by 柴田 at 2012年05月25日 01:47
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