〈本文〉
「何わざするならむ。」と床(ゆか)しくて、人目見はかりて、やをらはひりて、いみじく繁き薄の中に立てるに、八九ばかりになる女子のいとをかしげなる、薄色の袙(あこめ)・紅梅などみだれ著たる、小き貝を瑠璃(るり)の壺に入れて、あなたより走る樣の慌(あわただ)しげなるを、「をかし。」と見給ふに、直衣(なほし)の袖を見て、
「こゝに人こそあれ。」
と、何心もなく言ふに、侘(わび)しくなりて、
「あなかま。聞ゆべき事ありて、いと忍びて參り来たる人ぞ。そと寄り給へ。」
と言へば、
「明日の事思ひ侍るに、今より暇なくて、そそき侍(はんべ)るぞ。」
と囀(さへづ)りかけて、往ぬべく見ゆめり。をかしければ、
「何事のさ忙がしくは思さるゝぞ。麿(まろ)をだに思さむとあらば、いみじうをかしき事も加(くは)へてむかし。」
と言へば、名残(なごり)なく立ち止りて、
「この姫君と上との御方の姫君と、貝合せせさせ給はむとて、月頃いみじく集めさせ給ふに、

〈juppo〉2回目にして、やっと「貝合せ」という言葉が出てきましたね〜。で、貝合せって一体何?というのが今後の注目になりそうですが、多分「貝合せ」についての詳しい説明は今後の物語の中に出てこないので、ここで説明しておきます。
小学館「全訳古語例解辞典」によると、
@「物合はせ」の一種。左右二組に分かれて、それぞれ持ち寄った貝を出し合い、美しさ・珍しさ・大きさなどで優劣を競う遊戯。平安時代から始まった。
A「貝覆(かひおほ)ひ」の異称。
Aの貝覆ひというのは、ハマグリの貝がらを二枚に分けて、片方は伏せて置いて片方は手札にして合った貝を取っていく、神経衰弱のようなカルタのような遊びだったみたいです。
たくさん貝を集めている、と言っているのは貝の優劣を競うためだと思うので、ここでは@が正解なんでしょう。
貝がらの内側に、きれいな絵を描く芸術家の方をテレビで見たことがあるので、その絵を合わせていくゲームなのかな、と思ったのですが、あくまでも貝自体を競わせるらしいですね。ここでは。
このお話には、登場人物の着ている着物の説明がよく出てきます。女の子が来ている袙(あこめ)というのは、中に着る短い着物だそうです。その上に、紅梅色の着物を無造作に着ているというような様子らしいです。カラーでお見せ出来ないのが残念です。
それでも可愛い女の子が登場して、ちょっと画面が華やかになったかな、と思います。少将も相手の年齢お構いなしに「をかし」と感想を抱いています。全く、アンテナ張りまくりですね。
貝合せバトルはどうも身分のよいお姫様同士の対決のようです。身分がなまじ良いので、周りのサポートが半端なく、夜明けから大騒ぎなんですね。
続きます。
そして分かりやすいし今までより物語が身近になりました♪
御礼が遅れましてすみません。
参考にさせていただき、試験勉強がんばります!
まだまだ続きがありますが、少しでも試験に間に合っていたなら良かったです。
…続きもぼちぼち描きます!
書いていただけるだけでも嬉しいので、無理はなさらないでください。
そして二回目ですが、めっちゃ分かりやすいです\(^∀^)/!
少将はちょっとロリコンなのだろうかと思うこの頃です笑
続けてのコメントにねぎらいのお言葉まで…ありがとうございます。
無理のない程度にタラタラやってますので、ご心配なく!
少将は確かにロリコン気味ですよねー。
この後出てくる姫君も、結構若いんですよね(^-^)
さて、私は今高校で古典を教えているのですが、高校生にとっつきやすい授業をするのに苦戦しきりの毎日です。もしよろしければ柴田様の漫画を資料として使わせていただけないでしょうか? 勝手なお願いかとは思いますが、お許しいただければ幸いです。
ご訪問及びコメントありがとうございます。
その上たくさん褒めていただき、面映ゆい心地です。
私の漫画が少しでもお役に立てるのであれば、どうぞ資料にお使いください。
楽しんでもらえるといいですね!
次回の授業が楽しみですね!私もこっそり見に行きたいくらいです。
生徒さんに受け入れてもらえたら嬉しいです。
古文も結構面白い、と思ってもらいたいですよねぇ。