2012年05月31日

貝合せB

面白くなってきました。
〈本文〉
あなたの御方は大輔の君、侍従(じじゅう)の君と貝合せせさせ給はむとて、いみじく集めさせ給ふなり。まろが御前は、唯(ただ)若君一所にて、いみじく理なく覚ゆれば、只今も姉君の御許に人遣らむとて、罷(まか)りなむ。」
と言へば、
「その姫君たちのうちとけ給ひたらむ、格子の間(はざま)などにて見せたまへ。」
といへば、
「人に語り給はば、母もこそ宣(のたま)へ。」
とおづれば、
「物狂ほし。まろは更に物言はぬ人ぞよ。唯人に勝たせ奉らむ、勝たせ奉らじは、心ぞよ。いかなるにか。ひと物扶持(ものふち)。」
と宣へば、萬(よろづ)もおぼえで、
「さらば帰り給ふなよ。隱れ作りてすゑ奉らむ。人の起きぬさきに。いざ給へ。」
とて、西の妻戸に屏風(びゃうぶ)押し疊み寄せたる所に居(す)ゑ置くを、ひろびろ漸(やうや)うなり行くを、
「をさなき子を頼みて、見つけられたらば、よしなかるべきわざぞかし。」
など、思ひ思ひ、間より覗けば、
kai3.5.jpg
〈juppo〉描いていてこんなことを言うのもヘンですが、私も絵に描いてみて初めて「あ、そういうことだったのか」なんて得心がいくことがあります。皆さんも皆さんなりに、作品を漫画化してみてはいかがでしょう。内容理解が深まること間違いありません。

 そういうことかと思いつつ、勘違いで描いている部分もあるかもしれませんけどね。
 今回の「西の妻戸に屏風押し畳み寄せたる」という箇所は特に、「私はこういうことだと思うんだけど」くらいの理解で描いてしまっています。実際どういう風に隠れたのかは知る由もないので、とりあえず隠れて盗み見していることが分かれば御の字かと。
 お供の子供も一緒に隠れていますが、描いてしまってからこういう場合お供は外で待っているはずだったらしいことがわかりました。そうかもしれないけれども、私としては「じゃあお供はどこに隠れたのか」ということが気になります。外で待ってたら隠れている少将のこともバレてしまうのでは?とか。そんなわけで、せっかく描いたお供を消すのも忍びなく、ということも含めて一緒に隠れてもらってます。

 さて、読めば読むほどこの少将はキャラが立っていますね。「中世の“諸星あたる”」と称したいくらいです。
 私の描き方も多少加担しているのかもしれませんが、女に会うために働く頭の回転の速さには感服するしかありません。
 「蔵人の少将」というからには、それなりの身分も地位もあるはずなのに、そんな人がこんなことをしている、それを事細かに描写した物語が長年読み継がれている・・・廃れない文化の基本というのは、結局そういうことなんだなぁ、と考えさせられますね。

 そんな人間味溢れる少将、いたいけな幼女を言葉巧みにまんまとたぶらかして覗きの現場についに到着です。
 
屏風のすき間から垣間見えたものとは・・・!?
続きます。

posted by juppo at 23:47| Comment(8) | TrackBack(0) | 堤中納言物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私も国語・倫理系ゎ棒人間漫画にしています!
なんだかその方が頭にも入るし
後から見てもわかりやすいんですょね(>_<)

気になる終わり方ですね(*^_^*)楽しみにしてま〜す♪
Posted by ぴか at 2012年06月01日 12:32
ぴか様

ぴかちゃんの棒人間マンガ、見てみたいです〜(>_<)
絵にすると分かりやすいですよね!自分で描くと尚更。

いつかブログで発表してください!
Posted by 柴田 at 2012年06月01日 19:10
受験時代によくブログを見させて頂きました。合格してからこのサイトを久々に見させてもらおうとした所、見る事が出来ず、お辞めになってしまったのかなと思っていましたが、続けていらっしゃったようで良かったです。KDDIの件は色々と大変だったようで、お疲れさまでした。これからも面白く、かつ分かりやすい漫画を楽しみにしています。これからも頑張っていて下さい。陰ながら応援しています。
Posted by とある東京の大学生です at 2012年06月01日 22:57
とある東京の大学生さま

コメントありがとうございます!
そして、大学合格おめでとうございました!!

閉鎖中に訪問してくださり、ご心配をおかけしました。
ブログの引越しをまだ検討中なんですけど、当分ここでやっていると思いますので、お暇な時にまた覗いてくださいね。

大学生活を大いに楽しんで、有意義にお過ごしください。
Posted by 柴田 at 2012年06月02日 00:37
新しい話ありがとうございます♪

少将は、割に強気で攻めていったはいいけど、
思いのほか建物の中に入れられてしまったかんじでしょうか笑

垣間見というのは、普通庭の物陰とかからという話を聞いたことがあるのですが・・どうなんでしょうか?
Posted by ひややっこ at 2012年06月09日 15:25
ひややっこ様

コメントのお返しが遅くなってすみません!!
漫画の続きもただいま滞っておりまして、お待たせすることばかりで恐縮です。

垣間見・・・なるほど!「垣の間から見る」ですもんね!庭の垣から家の中を覗く動作から来た言葉なんですね!

少将も外にいるんでしょうか?私の解釈で、家の中に入れてもらった風に描いてしまいましたが、後でいろいろ訂正事項が出てきそうです。
実は他にも訂正しなければならないところがあって、いろいろごたついております。勉強不足です。
Posted by 柴田 at 2012年06月13日 00:13
いえいえ、ゆっくりやってくださって全然かまいませんから
本当にお気になさらないでください!

むしろ長いのをおねがいしてしまってもうしわけないです、、、

垣間見の本来の意味はそうらしいんです。

でもこの少将の本当の狙いは、庭の物陰に隠れさせてもらって
この女の子にお姫様を庭から見える位置に連れてきてもらうことだったけれど

女の子に強気で迫ってみたら、建物の中に連れてこられてしまって
見つかったら逃げられないしまずいなぁ

というの解釈を聞いたことがあります。
それに妻戸とか屏風とあるので、少将は建物の中にいるのだとおもいます。

という素人の解釈なのですが、、、

というか柴田さんのキャラクターの可愛らしい表情や分かりやすい漫画が好きなので(´`)♪
もう本当に柴田さんの解釈通りでかまいませんのでゆっくりゆったりやってください♪

Posted by ひややっこ at 2012年06月14日 20:56
ひややっこ様

慈愛溢れるコメントをありがとうございます。
お気持に応えるためにも続きを早く更新しなければ・・・と思っているのですが、お言葉に甘えてゆるゆるやってしまっています。

続きも描き始めていはいるので、数日中にはご覧に入れられると思います。そうだ、訂正するところも数日中には。

長い目でお付き合いくださいね。
Posted by 柴田 at 2012年06月15日 00:43
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック