2013年11月18日

雲林院の菩提講@

 引き続き、リクエストにお応えします。『大鏡』です。『若紫』はどうなっているのでしょうか。
〈本文〉
 さいつ頃(ころ)、雲林院(うりんゐん)の菩提講(ぼだいかう)に詣(まう)でて侍りしかば、例人(れいひと)よりはこよなう年老い、うたてげなる翁(おきな)ふたり、媼(おうな)といきあひて同じ所にゐぬめり。あはれに同じやうなるもののさまかなと見侍りしに、これらうち笑ひ見かはしていふやう、「年頃(としごろ)昔の人に対面(たいめ)して、いかで世の中の見聞く事をも聞こえ合はせむ、このただ今の入道(にふだう)殿下の御有様をも申し合はせばやと思ふに、あはれに嬉しくもあひ申したるかな。今ぞ心やすくよみぢもまかるべき。おぼしき事いはぬは、げにぞ腹ふくるるここちしける。かかればこそ昔の人は、ものいはまほしくなれば、穴を掘りてはいひ入れ侍りけめと覚え侍り。かへすがへす嬉しく対面したるかな。さても、いくつにかなり給ひぬる」といへば、今ひとりの翁、「いくつといふこと、さらに覚え侍らず。ただし、おのれは、故太政(だいじゃう)のおとど貞信公(ていしんこう)、蔵人(くらうど)の少将と申しし折(をり)の少舎人童(こどねりわらは)大犬丸(おほいぬまる)ぞかし。
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〈juppo〉雲林院は「うりんいん」と読むようですが、「ういんりん」と言いそうになりますね。
 『大鏡』と言えば、藤原道長が嫌味なほど活躍するお話ですよね。今回のこれは、その『大鏡』の「序ノ一」、プロローグに当たる章なんです。

 登場する年寄り3人のうち、2人のじじいが実は『大鏡』の語り部なんだそうです。「今の入道殿」と言っているのが、道長のことを指します。おばあさんは1人のじじいの奥さん(後妻だそうです)です。
 語り部なんですが、その年寄りどもを端から見ている若侍がもう1人いるんです。その若侍が聞き耳を立ててじじい達の思い出話を書き記したのが『大鏡』である、という構成になっているようです。

 このじじい達が誰なのかは後半に出てきます。長いのでその前で今回は終わってしまいました。続きは近日中に、ということで。

 すっかり放置の『若紫』の続きも近日中に。年内にとか言ってましたが、どうでしょう。気がついたら、今年ももう残す所1ヶ月半ではありませんか。皆さん、気がつかないうちに地球の自転が速まったりしてると思いませんか。時間が経つのが早い。早すぎる。
posted by juppo at 23:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 大鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
徒然草の、「今様はむげになりゆくめれ」のを見たいです!
Posted by 蘭々 at 2013年11月30日 23:41
蘭々さま

リクエストありがとうございます!
おまたせすることになるかもしれませんが、善処します!
Posted by 柴田 at 2013年12月01日 20:20
12/9(月)に、古典のテストがあるのですが、
大鏡「関白の宣旨」がわからなくて困ってます…
まんがを乗せてくれたら助かります!!!
お願いします。
Posted by さし at 2013年12月04日 18:44
さし様

リクエストありがとうございます!
12/9(月)はもうすぐですね〜。間に合うかどうか分かりませんが、取りかかります。あまり期待せずに勉強も頑張ってくださいね〜。
Posted by 柴田 at 2013年12月06日 01:43
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