2014年03月18日

肝試しB

 完結編です。テスト前に全部ご紹介出来なくて、ホントすみません。
〈本文〉
入道殿はいと久しく見えさせ給(たま)はぬを、いかがとおぼしめすほどにぞ、いとさりげなく、ことにもあらずげにて参(まゐ)らせ給へる。
「いかにいかに」と問はせ給へば、いとのどやかに、御刀(おほんかたな)に、削(けづ)られたる物を取り具(ぐ)して奉(たてまつ)らせ給ふに、「こは何ぞ」と仰(おほ)せらるれば、「ただにて帰り参りて侍(はべ)らむは、証(そう)さぶらふまじきにより、高御座(たかみくら)の南面(みなみおもて)の柱のもとを、削りてさぶらふなり」と、つれなく申し給ふに、いとあさましくおぼしめさる。こと殿達(とのたち)の御気色(みけしき)は、いかにもなほなほらで、この殿のかくて参り給へるを、帝よりはじめ、感じののしられ給へど、羨ましきにや、またいかなるにか、ものも言はでぞさぶらひ給ひける。なほ、疑はしくおぼしめされければ、持ていきて押しつけて見給ひけるに、つゆたがはざりけり。その削り跡は、いとけざやかにて侍めり。末(すゑ)の世にも、見る人はなほあさましきことにぞ申ししかし。
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〈juppo〉賢明な読者の皆さんはもうお気づきだったかと思いますが、結末は当然、道長のひとり勝ちです。カッコイイ所を見せておしまい、ってことです。

 でも、今こうして読んでみると、実際そう大したことはしてないと思いませんか?
 夜道をひとりで出かけて行って、柱を削って帰って来ただけですよ。

 道隆、道兼がヘタレで任務を遂行出来なかったから、ただひとり成功した道長がこうまで持ち上げられているのは、行き過ぎな感じですよね。贔屓の引きたおしになってしまいそうです。
 他人の失態を利用して英雄ぶるのってどうなの?というか。道長本人に、そんな気はなかったのかもしれませんけれども。

 高御座は、帝がお座りになる玉座のことだそうです。そんな恐れ多い建造物を破損して、それは大丈夫なのか?と心配になります。

「なほなほらで」という部分が、何か変な言葉みたいで面白かったんですけど、「なお なおらで」と切って読むんですね。尚、直らないで、ということですね。

 ところで、今年も花粉症の季節がやってまいりました。
 今年の花粉は去年より少ないと聞いていた通り、今月に入っても大した症状は出なかったのですが、ここ2週間くらい鼻水が止まりません。毎年のことなので、鼻をかみ続けることくらい何でもないんですけど、続けていると頭が痛くなって来るのが困りものです。
 こうして毎年、春を迎えるのだなと思えば忌み嫌うばかりのものでもないんですけどね〜。
posted by juppo at 00:09| Comment(1) | TrackBack(0) | 大鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
現代感覚ではただの肝試しですが、
魑魅魍魎が存在するものと考えられていた時代ですから、
今なら夜中に山の上の神社(無人)へ参拝してこい、
ぐらいのランクに相当するのでは。
Posted by at 2014年03月19日 23:38
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