〈本文〉
家居(いへゐ)のつきづきしく、あらまほしきこそ、仮の宿りとは思へど、興あるものなれ。よき人の、のどやかに住みなしたる所は、さし入りたる月の色も、ひときはしみじみと見ゆるぞかし。今めかしくきららかならねど、木だちものふりて、わざとならぬ庭の草も心あるさまに、簀子(すのこ)、透垣(すいがい)のたよりをかしく、うちある調度も昔覚えてやすらかなるこそ、心にくしと見ゆれ。
おほくの工(たくみ)の心をつくしてみがきたて、唐(から)の、大和(やまと)の、めづらしく、えならぬ調度どもならべおき、前栽(せんざい)の草木まで心のままならず作りなせるは、見る目もくるしく、いとわびし。さてもやは、ながらへ住むべき。また、時の間(ま)の煙(けぶり)ともなりなんとぞ、うち見るより思はるる。大方は、家居にこそ、ことざまはおしはからるれ。
〈juppo〉梅雨入りしたとたんに雨がずーっと降っていますね。そして気がつくともうすぐ期末テストですね。
徒然草です。相変わらず兼好さんがぼやいています。今回は人の住まいというものについてぼやいているようです。どんな家が良くてどんなのが良くないか、と言っているのですが、この章の、前半は良いもの、後半は悪いもの、という構成になっています。
ぼーっと読んでいると、「おほくの工の・・・」からいろいろ書き連ねているものが、「良い」と思って書いているように錯覚するんですけど、兼好さん的にはそれらは「ダメ」なものたちなんですね。
かいつまんで言えば、古いもの、自然なままであるものが「良い」。新しくていじってあるのは「悪い」ということのようです。
兼好さんのように年をとってみると、家など生きている間だけの仮の住まいなのだから、凝ってみてもしょうがないよ、と思えるのには同感なのですけど、それでも住んでいる人柄がわかるような「こだわり」を兼好さんは欲しているようで、そのへんはやはり趣味の人だなー、と思いました。
この段は続きがあるので、とりあえず@にしてありますが、Aはすぐに描きません。
他のリクエストに先にお応えしてから、いずれ続きを描きたいと思っています。中途半端で失礼いたします。
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そのうち描くつもりで、それっきりになってました。
でも、もうちょっと先になります。
スミマセン〜。