リクエストにお応えします!大変長らくお待たせいたしています。『大鏡』です。
〈本文〉
藤壷(ふぢつぼ)、弘徽殿(こきでん)、上(うへ)の御局(みづぼね)は、ほどもなく近きに、藤壷の方(かた)には小一条女御(こいちでうのにようご)芳子(ほうし)、弘徽殿にはこの后(きさき)安子(あんし)上(のぼ)りておはしましあへるを、いとやすからずおぼしめして、えやしづめがたくおはしましけむ、中隔(なかへだ)ての壁に穴をあけて、のぞかせ給(たま)ひけるに、女御の御容貌(おほんかたち)の、いと美しうめでたうおはしましければ、むべ時めくにこそありけれと御覧(ごらん)ずるに、いとど心やましくならせ給ひて、穴よりとほるばかりの土器(かはらけ)の割れして、打たせ給へりければ、帝(みかど)のおはしますほどにて、こればかりには、え堪(た)へさせ給はず、むづかりおはしまして、「かやうのことは、女房(にようばう)はえせじ。伊尹(これまさ)・兼通(かねみち)・兼家(かねいへ)などが、言ひもよほしてせさするならむ」と仰(おほ)せられて、皆殿上(てんじやう)にさぶらはせ給ふほどなりければ、三所(みところ)ながら、かしこまらせ給へりしかば、その折(をり)に、后いとど大(おほ)きに腹立たせ給ひて、
〈juppo〉ご無沙汰してしまいました。ブログを更新しない間に日本代表はもうブラジルから帰国してしまったではありませんか。大会前にはW杯って1ヶ月もやってるんだぁ〜と感想を抱いたものでしたが。
こちらのリクエストは中間試験前にいただいたのですが、気づくともう期末試験前か後ですね。本当にいつもスミマセン。
先週、近くの中学校の期末テスト対策学習会のお手伝いに呼ばれて行った際に、図書室で訳を作って来ました。
図書室にあった『大鏡』は厚くて固い本でしたので内容が詳しく載っており、ここの部分は「右大臣師輔」の章にあり、中宮安子についてはここの少し前の部分から話が始まっていて、その部分もついでに図書室で訳したのですが、多分教科書に載っているのはここからかなー、と思ったのでここから描きます。
描かなかった前の方の部分というのは、主にその右大臣師輔についての説明です。右大臣には息子が11人、娘が5、6人いて、第一の姫が安子です。安子は多くの女御の中でも輝く存在だったそうですが、ちょっとイジワルで嫉妬深い性格だった、というようなことが前の部分に書かれているのです。
その内容を知っていてもいなくても、この部分の解釈に影響はないと思うので、特にリクエスト等いただかない限りはその部分は漫画にしないことにします。とりあえず。
ちょっとイジワルで嫉妬深いので、隣の部屋に他の女がいるだけで落ち着かない安子です。藤壷、小徽殿の上の部屋というのは帝の住まいである清涼殿の、女御が控える部屋です。「壁に穴をあけ」とありますが、実際にはこの2人がいる部屋は壁1枚で隔たっている訳ではないので、穴から覗いたり、焼き物のかけらを投げ入れたりすることは不可能なんだそうです。一説にはこのエピソードが起こった当時は壁だけだった、とするものもあるようですが。
伊尹・兼通・兼家の3人は安子の兄弟です。安子のせいにはせず、兄弟たちにそそのかされたんだろうと思う帝には優しさを感じますが、安子は感じなかったようで、兄弟たちがそのせいで謹慎させられたことにまたご立腹・・・というところで続きます。
ところで全くの余談ですけど、芳子、安子という名前はどうしても「よしこ」「やすこ」と読んでしまいますよねー。別にそれでいいと思いますけど。読み方がテストに出ない限りは。この記事を書く時もずっと「やすこ」で入力・変換しましたよ。『枕草子』の中宮定子も「さだこ」です。「ていし」で変換すると「停止」になってめんどくさいので。
2014年06月29日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック