2014年08月08日

姨捨(をばすて)A

後編です。台風は今どこですか!?
〈本文〉
寺に尊き業(わざ)する、見せたてまつらむ」といひければ、かぎりなくよろこびて負はれにけり。高き山の麓(ふもと)に住みければ、その山にはるばるといりて、たかきやまの峯の、下り来べくもあらぬに置きて逃げてきぬ。
「やや」といヘど、いらへもせでにげて、家にきておもひをるに、いひ腹立てけるおりは、腹立ちてかくしつれど、としごろおやの如(ごと)養ひつゝあひ添ひにければ、いとかなしくおぼえけり。この山の上より、月もいとかぎりなく明くていでたるをながめて、夜一夜ねられず、かなしくおぼえければかくよみたりける、

 わが心なぐさめかねつ更級や姨捨山に照る月をみて

とよみて、又いきて迎へもて来にける、それより後なむ、姨捨山といひける。慰めがたしとはこれがよしになむありける。
obasute2.jpeg
〈juppo〉ホントに捨てられなくてよかったですねぇ〜。一晩山の上に放置されたとは言え。
家に帰って男はかなり冷静に分析・反省していますが、山の上に行くまでとか、帰ってくる間にそういう余裕はなかったんですかねー。なかったんでしょうねー。
 
 自分ではよく考えて行動しているつもりでも、後から思うとやけに熱くなって冷静を欠いていたなー、と反省してしまうことってありますよね。
 熱くなってなくても、ぼんやりした頭で着て出た服を「何でこんな服着て来ちゃったんだろう・・」と後悔するようなことはしょっちゅうです。

 冷静になりすぎて出遅れるより勢いで突っ走った方が成功する場合もあるかもしれませんが、もし万が一取り返しのつかないことでもしてしまったらと思うと、何をするにももう一度落ち着いて考えるとか、人に相談して客観的な意見を伺うという態度はやはり必要なんでしょうね。
 特にこう毎日暑いと、冷静になるのも難儀なほど脳が働かないですからね。
 
 皆さんも、今しようとしていること、それ、もう一度よく考えてみてください。

 このお話によれば、あー、あんなことしなければよかった、という「慰めがたし」な気持ちを「姨捨山のことだね」と言うそうです。そんなことにならないで、楽しい夏をお過ごしくださいね。
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posted by juppo at 01:13| Comment(6) | TrackBack(0) | 大和物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
枕草子に姨捨山の月が出てきますが、
元話の方は初めて読みました!
こういう噺からの引用だったんですね。
描いてくださってどうもありがとうございました。
Posted by at 2014年08月10日 14:49
枕草子への引用は知りませんでした!
そうだったんですか〜。ありがとうございます!
Posted by 柴田 at 2014年08月10日 20:25
白い紙と高麗べりのムシロがあればリフレッシュできる!と語ったら中宮様から紙と高麗べりの畳が届いた、というエピソード中に登場しています〜。
「簡単なリフレッシュねー、姨捨山の月を見ても気持ちが慰められない人もいるのにねー」というニュアンスの突っ込みが登場しています。適当な意訳ですが。
Posted by at 2014年08月12日 18:58
わかりやすい訳をありがとうございます!
面白そうなエピソードですね〜
機会があれば、ここで漫画に出来たら…と思います(^.^)
Posted by 柴田 at 2014年08月12日 21:44
どうもありがとうございます。気長にお待ちしています。
『鶴の齢となりぬべきかな』の句が出てくる段です。参考までに。
Posted by at 2014年08月13日 22:27
参考にさせていただきます!
…いつになるかわかりませんが、作品化リストに書き加えておきます。
ありがとうございました!
Posted by 柴田 at 2014年08月13日 22:44
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