〈本文〉
日もいと長きに、つれづれなれば、夕暮れのいたうかすみたるに紛(まぎ)れて、かの小柴垣(こしばがき)のもとに立ちいでたまふ。人々は帰したまひて、惟光(これみつ)の朝臣(あそん)と、のぞきたまへば、ただこの西面(にしおもて)にしも、持仏(ぢぶつ)すゑたてまつりて行ふ、尼(あま)なりけり。すだれ少し上げて、花奉(たてまつ)るめり。中の柱に寄りゐて、脇息(けふそく)の上に経(きやう)を置きて、いと悩ましげに読みゐたる尼君、ただ人(びと)と見えず。四十(よそぢ)あまりばかりにて、いと白うあてに、やせたれど、つらつきふくらかに、まみのほど、髪の美しげにそがれたる末(すゑ)も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかなと、あはれに見たまふ。
〈juppo〉『若紫』はいつぞや冒頭を描き始め、肝心の紫の上が全く姿を見せないほんの冒頭しか描かないまま、続きも近いうちに〜〜、なんて言いっぱなしにしたのがなんと、去年のことだったんですね!
ふざけるなっ!て感じですけど、本人はホントにふざけてなんかいないんですよ〜。ただ時間が過ぎるのが速いだけなんですよ〜。
この9月も、夏休みが終わったと思ったら台風が来たり火山が噴火したり、「逸ノ城スゲー・・」とか言ってる間に秋場所が始まって終わり・・そんな中、『若紫』の続きはないのか!!というリクエストをいただきましたので、順当に前回描いた所からの続きから描き始めるべきところですが、特にここを!という、そういえば参考書や教科書に載ってるのはこの箇所だな、てところを描きます。中断したところに直結しないので、サブタイトルをつけました。
余談ですが、「かいまみ」と聞くと「後ろ指さされ組」の高井麻巳子ちゃんを思い出すのは私だけですか。
もちろんここでは、「垣間見る」から来る「かいまみ」です。
冒頭からこのシーンに至るまでに、この小柴垣現場は既に出てくるものと思われますね。小柴垣というのは、低い柴の木を編んで作った垣根のことだそうです。
その小柴垣のある家の中に、なんか良さげな尼さんがいて・・・というところで今回はおしまいです。
結局、ここまで来てもなお、紫の上になるべき人が出てこないのは誠に遺憾でありますが、今度こそ、その人が登場する所まで描きますので、続きをお待ちください。今度こそ、近いうちに描きます。
それにしても逸ノ城はすごかったですねー。九州場所も目が離せませんねー。
ありがとうございます!
残りも急いでやります!