2014年10月07日

若紫(北山のかいまみ)B

さらに、続きです。
〈本文〉
いづかたへかまかりぬる。いとをかしう、やうやうなりつるものを。烏(からす)などもこそ見つくれ。」とて、立ちて行く。髪ゆるるかにいと長く、めやすき人なめり。少納言の乳母(めのと)とぞ人言ふめるは、この子の後見(うしろみ)なるべし。尼君、「いで、あな幼(をさな)や。言ふかひなうものしたまふかな。おのがかくけふ・あすにおぼゆる命をば、なにともおぼしたらで、雀慕ひたまふほどよ。『罪得(う)ることぞ。』と常に聞こゆるを。心憂(う)く。」とて、「こちや。」と言へば、ついゐたり。
 つらつきいとらうたげにて、眉(まゆ)のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額(ひたひ)つき、髪(かん)ざし、いみじう美し。ねびゆかむさまゆかしき人かなと、目とまりたまふ。さるは、限りなう心を尽くしきこゆる人に、いとよう似たてまつれるが、まもらるるなりけりと思ふにも、涙ぞ落つる。
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〈juppo〉台風18号が凄い勢いで通り過ぎて行きましたが、皆さんのお住まいや周辺には被害がなかったでしょうか。私の住む町にも避難勧告が出ていたようですが、我が家は無事だったので、ただ家から一歩も出ずに引きこもっていました。
 
 「北山のかいまみ」はひとまず、ここで終了にします。この先がまだあるようなんですが、手が届く所にあった古文の参考書に載ってたのがここまでだったので。家宅捜索の後『源氏物語』の訳本を発掘したら、また続きが描けるかもしれません。

 最後のコマで「涙ぞ落つる」とありますが、ここで涙を落としているのは源氏本人なんですよね。実は。ここまで紫の上を見つめている源氏をうっとり♡バージョンで描いてしまったので、流れで源氏にはひたすら見とれていてもらい、源氏の藤壷への想いに涙する役を惟光にやらせてしまいました。
 藤壷というのは、源氏を生んだ桐壺の更衣亡き後に帝が愛した女御のことだそうで、要するに源氏は父親の愛人に思慕、というか情愛の念を抱いているのですね。その藤壷に、この子どもが似ているので余計に惹かれてしまった、ということらしいです。私が描くと皆同じ顔なので、似ているも似てないもないんですけど。
 何しろ、父の愛人からふと目にした10歳の幼女まで、守備範囲の広い光源氏であります。

 
 ところで先週、葛西臨海水族園に行って来ました。水槽の中で悠々と泳いでいるカメ。
IMG_0643.JPG
 帰りに車のナビが故障して、急遽地図と標識頼りに運転するハメになりました。ナビがない頃は前もって地図を確認したものですが、ナビがあると思うとどこに行くにも大して調べもせずに出発してしまうので、こんなトラブルがあると完全に迷子です。無事に帰宅できましたけどね。機械に操られてばかりいるのも考えものですね。
posted by juppo at 04:48| Comment(7) | TrackBack(0) | 源氏物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マンガ、楽しく拝見しました。

「烏などもこそ見つくれ。」の訳は、「烏なんかが見つけたら大変だ。」とすべきではないでしょうか。
「烏など」は主語ですし、「見つくれ」は「見つく」の已然形で受け身ではありません。

高校生が間違って訳してしまうポイントなので、是非訂正をお願いします。
Posted by 古狸 at 2015年11月23日 12:23
古狸さま

ご指摘ありがとうございました。訂正させていただきました!
つい無意識に、限られた表現だけで内容が伝わるように、とばかり考えて訳しておりましたが、文法は学生さんたちにとって重要な問題ですよね。

また何かお気づきのことがあれば、お知らせください。
Posted by 柴田 at 2015年11月23日 23:33
とても楽しく漫画を拝見しております。

最終コマで、藤壺のことを思い出し涙を流している人物が萎烏帽子をかぶった「惟光」になっているような気がしますが…。
立烏帽子が光源氏、萎烏帽子が惟光という理解でよかったでしょうか? 

今後の話にも関わるコマなのでコメントさせていただきました。間違っていたらすみません。ご確認お願いします。
Posted by 田町 at 2018年01月26日 09:38
連投すみません。

先ほどのコメントですが、漫画化なさる意図があってのことだったのですね! ブログ本文をきちんと読まずに投稿してしまい申し訳ありません。
Posted by 田町 at 2018年01月26日 09:43
田町さま

連投ありがとうございます(^_^;)
私もブログの文章を読み返さなかったら「えっ⁉︎しまったぁ〜」と思うところでした。
でも、そういう演出みたいに言い訳してますが、最初から意図してそうしたワケではなく、流れでそうなってしまったようなモノなので、やっぱりいずれ正しく直した方がいいな、と今は思っております。わかりずらいですよね〜。
いつ直すとはお約束出来ませんが…。それまでは言い訳でご容赦ください。
Posted by 柴田 at 2018年01月26日 15:11
いつもお世話になっています。国語の教師をしているものです。
単行本も自分用に全巻買い、学校の図書室にも置かせてもらっています。
続き(若草と露の歌が詠まれる場面)も宜しくお願いします。
Posted by m at 2019年02月13日 13:35
m先生

ありがとうございます。こちらこそお世話になります。
大変なご愛顧をいただいて恐縮です。
源氏物語は中途半端に描き散らしていて、自分でも気にしてはいるのですが、こうしてリクエストをいただくと、続きを描くきっかけになります。
それでもお待たせしてしまうことになりそうですけど、なるべく近いうちにお応えできればと思います。
気長にお待ちください。相変わらずですが、今後ともどうぞよろしくお願いします!
Posted by 柴田 at 2019年02月13日 17:26
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