2015年02月01日

泔坏(ゆするつき)の水A

お待たせしました。後編です。
〈本文〉
あなものぐるほし、たはぶれごととこそ我は思ひしか、はかなき仲なれば、かくてやむやうもありなむかしと思へば、心細うてながむるほどに、出でし日使ひし泔坏(ゆするつき)の水は、さながらありけり。上に塵(ちり)ゐてあり。かくまでと、あさましう、

 絶えぬるか影だにあらば問ふべきをかたみの水は水草(みくさ)ゐにけり

など思ひし日しも、見えたり。例のごとにてやみにけり。かやうに胸つぶらはしき折のみあるが、よに心ゆるびなきなむ、わびしかりける。
yusurutsuki2.jpeg
〈juppo〉2月になりましたね。受験生の皆さん、もう少しです。頑張ってください。
 さて、ついに登場した泔坏であります。泔坏は泔を入れる坏のことでした。
泔(ゆする)は、髪を洗ったり梳(と)かしたりするのに使う液体のことで、お米のとぎ汁とか、お米を蒸したあとの水だったらしいです。
坏(つき)は液体を入れる器のことですよね。
 つまり今で言うシャンプー台とか、シャンプードレッサー、てことですね。今だったらニトリ辺りで売ってることでしょうね。

 その泔が、あの日あの人が出て行ったときのままで、ホコリが浮いちゃってたり水草が生えちゃったりしてるということは、そんなに長いことあの人はここへ来てないのか、としみじみ思っている筆者です。
 これはいつものインターバルがいつもより長いだけなのか、それとも終わったあとの日々なのか、ハッキリしなくて不安になっているんですね。

 何かが終わる時は、それが分かっているときもあれば、いつの間にか終わったなぁ、ということもありますよね。よく行ってたお店にいつの間にか行かなくなったなぁ、なんて場合、最後に行った時は最後のつもりじゃなかったのになぁ、とか。
 待ってる側は堪らないですよね。しかも言い争ったとは言え、いつもの他愛ない言い争いだと思ってたのに・・・なんて。

 そんな風に思い悩む女の気持ちはつゆ知らず、男はまたいつものように来るんですね、結局。最初のコマに戻って、延々ループする生活に見えますよねー、ここだけ読むと。


 「泔坏(ゆするつき)の水」は今回でおしまいです。
 東京にも雪が積もるほど降ったり、寒い日が続いていますが皆さん風邪には気をつけて。
 
posted by juppo at 04:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 蜻蛉日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ありがとうございます!
泔坏の水は、通い婚ゆえに生じる揉め事というのが
どうも高校生にはとっつきにくさを感じるというか、
イメージしにくいらしく…
(いつの時代も変わらないといえば変わらない
夫婦のごたごたによる部分も大きい気もするのですが、
どちらにしろ高校生にはまだ理解しづらい話かもしれませんね…。)
これから有り難く使わせて頂きます。
本当にありがとうございました!




Posted by ユウカ at 2015年02月19日 21:40
ユウカ先生、
コメントありがとうございます。
通信手段の発達した現代から見ると、今何してるの?今度いつ来るの?など聞くことも出来ないもどかしさは、伝わりにくいですよね〜
でも、連絡がすぐつく現代でも、気持ちが届かないなんて悩みは不滅でしょうから、気持ちを汲んで読み進められたらいいですね。
Posted by 柴田 at 2015年02月19日 21:59
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