2015年05月11日

糟糠之妻(そうこうのつま)

 長らくご無沙汰してしまいました。リクエストにお応えします。漢文です。
〈本文〉
時帝姉湖陽公主新寡。帝与共論朝臣微観其意。主曰、
「宋弘威容徳器、群臣莫及。」
帝曰、
「方且図之。」
後、弘被引見。
帝令主坐屏風後、因謂弘曰、
「諺言、貴易交、富易妻。人情乎。」
弘曰、
「臣聞、貧賎之知不可忘。糟糠之妻不下堂。」
帝顧謂主曰、
「事不諧矣。」
〈書き下し文〉
時に帝(てい)の姉の湖陽公主(こようこうしゅ)新たに寡(か)となる。
帝与(と)共(とも)に朝臣を論じ微(ひそ)かにその意を観(み)る。
主(しゅ)曰(いは)く、
「宋弘(そうこう)の威容徳器、群臣及ぶなし。」と。
帝曰く、
「方(まさ)に且(まさ)にこれを図らんとす。」と。
後、弘(こう)引見せらる。
帝、主をして屏風(びやうぶ)の後ろに坐(ざ)せしめ、因(よ)りて弘に謂(い)ひて曰く、
「諺(ことわざ)に言ふ、貴(たっと)くして交わりを易(か)へ、富みて妻を易ふ、と。人の情か、」と。
弘曰く、「臣(しん)聞く、貧賎(ひんせん)の知(ち)は忘るべからず。糟糠(そうこう)の妻は堂より下さず、と。」
帝顧(かえり)みて主に謂ひて曰く、
「事かなわず。」と。
soukou.jpeg
〈juppo〉
皆さん!お元気ですか!?私は元気です!2ヶ月も更新ほったらかしで、すみませんでした。大型連休もいつの間にか終わり、もうすぐ中間テストですか?

 今回は『後漢書』の宋弘伝とやらから、「糟糠之妻」をお届けしています。
帝とは光武帝のことで、そのお姉さんが未亡人になったので、部下の中から誰か見繕って再婚させようという、姉思いの弟のお話なのですね。

 お姉さんが、この人がいい!と目を付けたのが宋弘です。「そうこう」と読みますが、「宋弘の妻」に引っかけている訳ではないそうです。

 糟糠というのは酒かすと米ぬかを指す言葉で、そんなものしか食べられなかったビンボー時代を支えた妻という意味になっているんですね。

 糟糠の妻って最近聞かない言葉ですよね〜。芸のためなら女房も泣かす♪「浪速恋しぐれ」の世界にでも思いを馳せるしか、想像出来ないほど日本が豊かになったということですよねー。妻がいようといまいと、なかなか酒かすと米ぬかで生活するような事態には陥らないのが21世紀です。日本では。

 宋弘にはこの時ちゃんと奥さんがいるので、帝の思惑としては身分や経済状況が良くなったら、それに合わせて付き合う友人とか奥さんを、ふさわしい人材に替えるのはどうかな?と水を向けて、宋弘が「そうですね」とさえ言えば姉を再婚相手にしてもらおう、というものだったようです。
 ところが宋弘はバッサリ、自分が偉くなっても苦労した時の友人や妻を見捨てたりはしない!と即答した、という顛末でした。

 「堂より下さず」というのは「家から追い出す」という意味です。貧しい時代を共に過ごした妻を、豊かになったからと言って家から追い出すなんて、そりゃ愛がなさすぎですよね。帝のお姉さんには残念な結果となってしまいましたが、それほどの実直な人柄が、そもそも宋弘の評判に繋がっていたという訳なのですね。

 貧乏はしたくないですが、そんな「貫く愛」っていいですよね、というところでキレイにまとめたいと思います。ではまた。
posted by juppo at 23:54| Comment(11) | TrackBack(0) | 漢文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
以前お願いした糟糠の妻の資料を作って頂き、
ありがとうございました!!

また、お願いするときがあるかもしれません。
今後もよろしくお願いします。
Posted by 新米講師 at 2015年05月14日 11:35
新米講師さま

遅くなって申し訳ありませんでしたっ(>_<)
…最近どうも、何をするのもゆるゆるで…。
こんなペースでも大丈夫なら、またリクエストお寄せください。事情によりお応えできない場合もあるかも、ですが。
ありがとうございました。
Posted by 柴田 at 2015年05月14日 11:51
「ダメだった」のコマの左二人の表情に大笑いしました。
なんかコントのようで和んでしまいました。
Posted by at 2015年05月17日 15:51
和んでいただけましたか!
良かったです(^_^)
Posted by 柴田 at 2015年05月17日 16:09
はじめまして。時雨と申します。
6月から高校の教育実習に行くことになり、現在『児のそら寝』の教材研究をしておりまして、ネットで調べていたらたどり着きました。

ぜひ、『児のそら寝』の漫画を授業で使わせていただきたく、こちらに書かせていただきました。
もし許可をくださるようでしたら、メールアドレスにお返事いただけると嬉しいです。
ご検討よろしくお願いいたします。

失礼いたしました。

時雨
Posted by 時雨 at 2015年05月21日 21:35
時雨さま

メールアドレスに…ということでしたが、こちらでお返事させていただきます。
「児のそら寝」、どうぞ授業でお使いください。お役に立てれば嬉しいです。
教育実習は大変なこともあると思いますが、頑張ってください。楽しい実習になるといいですね!
Posted by 柴田 at 2015年05月21日 21:44
またまたですが、リクエストをお願いします。
韓昌黎集(かんしょうれいしゅう)という作品の
「雑説」という作品を作って頂きたいです。

世有伯楽、然後有千里馬。〜で始まる作品です。

よろしくお願いします。
Posted by 新米講師 at 2015年05月27日 08:09
お世話になっています。

またまたですが、リクエストを
是非ともお願いしたいと思います。

漢文「雑説」と今物語「桜木の精」を
お願いしたいです。

よろしくお願いします。
Posted by 新米講師 at 2015年05月27日 18:51
新米講師さま

新たにリクエストをありがとうございます。
すぐにお応え出来るかどうか分かりませんが、リストに加えさせていただきます。
待つともなしに、お待ちください。
Posted by 柴田 at 2015年05月28日 21:49
イラストで一気に理解が深まりました。ありがとうございます。
Posted by 感謝 at 2016年04月25日 03:10
感謝さま

お役に立てて何よりです!
勉強頑張ってくださいね(^^)
Posted by 柴田 at 2016年04月27日 14:53
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