〈本文〉 およそ能登(のと)の守(かみ)教経(のりつね)の矢先に回る者こそなかりけれ。矢だねのあるほど射尽くして、今日(きよう)を最後とや思はれけん、赤地の錦(にしき)の直垂(ひたたれ)に、唐綾縅(からあやおどし)の鎧着て、いか物づくりの大太刀(おおだち)抜き、白柄(しらえ)の大長刀(おおなぎなた)のさやをはづし、左右(そう)に持つて薙(な)ぎ回りたまふに、おもてを合はする者ぞなき。多くの者ども討たれにけり。新中納言使者を立てて、「能登殿、いたう罪な作りたまひそ。さりとてよき敵(かたき)か。」とのたまひければ、「さては大将軍に組めごさんなれ。」と心得て、打ち物茎短(くきみじか)に取つて、源氏の船に乗り移り乗り移り、をめき叫んで攻め戦ふ。判官を見知りたまはねば、物の具のよき武者をば判官かと目をかけて、馳(は)せ回る。

〈juppo〉まー『平家物語』ったら「最期」ばっかりですね。平家が滅亡する話ですから、そりゃそうなんですけど、微に入り細に亘って平氏の武将があちこちで倒れるさまが綴られているんですね。
そういうわけで今回は残念ながら能登殿が最期です。能登殿の人となりをそれほど知らずに描いている私ですが。
最期ではあるんですけど、まだ能登殿は健在です。何回か続きます。
ところで年末に、年賀状を作ろうと思った途端、PCとプリンタが相次いで壊れました。プリンタは新しいのを購入し、PCはMacなので修理してもらえるところを探して新年早々駆け込みました。幸い、液晶その他の交換だけで済んだので、すぐ直りました。年賀状はPCを使わずに作成しました。
そうこうしているうちにもう1月も半分くらい終わりそうですが、今週後半、母と私は宮古島に行って来ます!
能登殿は一旦お休みして、次回はその話を詳しく書きます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
お時間ありましたら『平家物語』「忠度の都落ち」も宜しくお願いします。
コメント、リクエストをありがとうございます。
本当に時間が出来たらでいつになるお約束は出来ませんが、「忠度の都落ち」、承りました。