〈本文〉ここに土佐の国の住人安芸郷(あきごう)を知行(ちぎよう)しける安芸の大領実康(さねやす)が子に、安芸の太郎実光(さねみつ)とて、三十人が力持つたる大力(だいじから)の剛(ごう)の者あり。われにちつとも劣らぬ郎等(ろうどう)一人、おととの次郎も普通にはすぐれたるしたたか者なり。安芸の太郎、能登殿を見たてまつて申しけるは、「いかに猛(たけ)うましますとも、われら三人取りついたらんに、たとひたけ十丈の鬼なりとも、などか従へざるべき。」とて、主従(しゆうじゆう)三人小船に乗つて、能登殿の船に押し並べ、「えい。」と言ひて乗り移り、甲(かぶと)の綴(しころ)をかたぶけ、太刀を抜いて一面に討つてかかる。能登殿ちつとも騒ぎたまはず、まつさきに進んだる安芸の太郎が郎等を、すそを合はせて、海へどうど蹴(け)入れたまふ。続いて寄る安芸の太郎を弓手(ゆんで)の脇に取つてはさみ、おととの次郎をば馬手(めて)の脇にかいばさみ、ひと締め締めて、
〈juppo〉いったいいつまで最期最期と言い続けているのかと思われそうですが、まだ最期が来ません。能登殿。
とは言え、いよいよクライマックスではあります。その直前で中途半端に切ってしまいました。あとちょっとだけ残ってる分は、実はもう描いたので、近日中にご紹介します。重大発表はコレじゃありません。
前回能登殿から逃れた判官義経はあのままどこかへ行ってしまったのか、もう出て来ません。代わりに突然安芸の太郎チームの登場です。登場して挑みかかった途端にもうやられそうですけど。
能登殿が大童の髪型になって、太郎次郎兄弟と対峙するこの場面は、平家物語でも圧巻のシーンなんですよね。3人が束になってかかってもかなわない程の強さは、能登殿の真髄なのか、最期の一撃ならではなのか、現代人には計り知れないことですが。
「十丈の鬼」の「丈」は長さの単位で、1丈は約3.03メートルです。鬼はやっぱり大きいんですね。
「綴」は「しころ」と読んで、カブトの下に垂れた、首を守る部分のことだそうです。綴山親方の綴にはそんな意味があったとは。
「弓手」は左手、「馬手」は右手を指すんですね。弓を左手で持ち、馬の手綱を右手で持つからなんですね。逆は許されなかったのでしょうか。日本人はわりとそう言う作法にうるさいですからね。今は左利きの方も多いですが、右と左をそれぞれ「お箸持つ方」「お茶碗持つ方」なんて言ったりもしますからねー。
そういう訳で次回がいよいよ最終回になります。
さて、思わせぶりな重大発表です!
皆さんに可愛がっていただいているこのブログが、ついに、なんと、
本になることになりました!!
まだ出来てはいないんですけど、いろいろと順調に行けば、夢でなければ秋に刊行予定です。
本当に出来上がったらいいですね〜。楽しみです。
今後も少しずつ、制作状況がお知らせできればと思います。できる範囲で。



いずれにしましても、本でゆっくり読めたらいいですね。
ありがとうございます!
ダラダラ続けていたものが気づいたら10年、気づいたら結構な数が描き溜まっていて、収録作を選ぶところからもう混迷しています。
無事刊行できることをうっすらご期待ください。
授業で使用する件で以前ご連絡したときも快く承諾してくださって、大変うれしかったです。書籍になったらぜひ購入して手元に置いておきたいです。楽しみにしています。
ありがとうございます。
ちゃんとした本がお届け出来るよう、頑張ります!
まだあまり作業は進んでないんですけど、ご期待を励みに気を引き締めたいです。
漫画を読ませていただきました。
すごく分かりやすくて、内容が頭にすっと入ってきました。ありがとうございます。
もし可能であれば、授業の教材に使用させていただきたいです。
コメントありがとうございます。
はい、漫画を授業でお使いいただくのは可能です。コピーなどで生徒さんたちにもご紹介ください。古文に親しむきっかけになれたら、嬉しいです。
また、他のものも拝見させていただきます。