〈白文〉
買死馬骨五百金而返。 君怒。
涓人曰、
『死馬且買之、況生者乎。 馬今至矣。』
不期年、千里馬至者三。
今王必欲致士、先従隗始。
況賢於隗者、豈遠千里哉。」
於是昭王為隗改築宮、師事之。 於是士争趨燕。
〈書き下し文〉
死馬(しば)の骨を五百金に買ひて返る。 君怒(いか)る。
涓人(けんじん)曰はく、
『死馬すら且(か)つ之(これ)を買ふ。 況(いは)んや生ける者をや。 馬今に至らん』と。
期年ならずして、千里の馬至る者三なり。
今、王必ず士(し)を致さんと欲せば、先(ま)づ隗より始めよ。
況んや隗より賢なる者、豈(あ)に千里を遠(とほ)しとせんや。」と。
是(ここ)に於いて、昭王隗の為に改めて宮(きゆう)を築き、之に指事す。是に於いて、士争ひて燕に趨(おもむ)く。
〈juppo〉目の前に「先生」と呼ぶ人物がいるのに、なぜよそから他の先生を呼ぼうと考えているのかが不自然な前半でしたが、後半はやはりそういうことで、目の前にいる人からまず始めてみては?という結論でしたねー。
とは言え、タダの骨に大金を払ったからこそいい馬が手に入ったように、身近な指導者の価値を見直し待遇を改めたからこそ、賢人が噂を聞きつけたということですから、闇雲に何でも手近なところから始めなさい、ということでもないんですよね。
それにしても、そうは言ってもやっぱり馬の骨に五百金(が、いくらくらいか分からないですけど)も払うのはどうかと思いますよね。「せめて肉買って来いよ!」と、私が王様ならボヤくところかと。
よく「勉強の仕方がわからない」というお悩みを耳にしますが、そう悩んでる時点でまだ何も勉強してない、てことなんじゃないかと思うので、とりあえずまず目の前にある教科書を開くことから始めてみては?とか、学校の授業で何をやってたか思い出すことから始めては?なんてアドバイスを・・実際にしたことはありません。「勉強法なんて始めてから分かることで、人それぞれと思うけど。」と心の中に抱きつつ、いろいろ考えてアドバイスしてたと思います。聞かれた時には。
以前、「芥川」の授業で生徒にこちらの漫画を紹介したところ、「わかりやすい」ととても良い反応でした。
高校で「先従隗始」の授業を実施するのですが、こちらの漫画をプリントに掲載させていただいてもよろしいでしょうか。
はい、もちろん授業でお使いいただいて構いません。お役に立てれば何よりです。
漢文も楽しく学んでいただけますように。