2019年07月02日

虫愛づる姫君I

テレビのリモコンが壊れました。そうこうするうちに第10回です。
〈本文〉
 わらはの立てる、あやしと見て、「かの立蔀(たてじとみ)のもとにそひて、きよげなる男の、さすがに姿つきあやしげなるこそのぞき立てれ」といへば、このたいふの君といふ、「あないみじ。御前(おまへ)には、例の、虫興じ給ふとて、あらはにやおはすらむ。告げたてまつらむ」とて、参れば、例の簾(すだれ)の外(と)におはして、かはむしののしりてはらひ落とさせ給ふ。いと恐ろしければ、近くはよらで、「入らせ給へ。あらはなり」と聞こえさすれば、これを制せむと思ひて言ふとおぼえて、「それさはれ、ものはづかしからず」とのたまへば、「あな心憂(こころう)。そらごととおぼしめすか。その立蔀のつらに、いとはづかしげなる人侍るなるを。奥にて御覧ぜよ」といへば、「けらを、かしこにいて見て来(こ)」とのたまへば、立ち走りていきて、「まことに侍るなりけり」と申せば、立ち走り、かはむしは袖にひろひ入れて走り入り給ひぬ。
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〈juppo〉物語はとっちらかり放題な感じですが、終わりが見えて来ました。今回を入れてあと3回です。夏休みが始まるころまでには完結しそうです。あ、テレビのリモコンはネットで中古品を買って快適な生活を取り戻しました。チャンネルや音量を変えるためだけにテレビ本体まで往復する生活を数日送りました。
 
 巧みな変装でまんまと姫を覗き見していた右馬の助、あっさり子供に「男」と見破られています。王様が裸なことを見破ったのも子供でしたからね。子供の目に勝るものなし、なのですね。

 大夫の君は初登場ですよね。侍女の一人です。姫に知らせに行って、結局直接言えず伝言係を置いていますが、訳によっては大夫の君自ら姫に伝えています。私としてはどっちでもいいんですけど、いずれ描きなおす必要が生じた時に、一人描き足すより消す方が楽なので多めに描いておく方を選びました。

 ホントに人が見ていることがわかった姫の行動が迅速極まりないです。やっぱり人に見られるのには恥じらいがあるんでしょうか。毛虫を袖に入れるのを想像すると、ウッとなりそうですが。まさか見ている人に毛虫を横取りされるのを心配でもしたのでしょうか。

 残り2回です。また来週、お届けします。
posted by juppo at 23:57| Comment(0) | 堤中納言物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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