〈本文〉
ものを言ふもくぐもり声に響きて聞えず。「かかることは文(ふみ)にも見えず、伝へたる教へもなし」と言へば、又仁和寺へ帰りて、親しき者、老いたる母など、枕上(まくらがみ)に寄りゐて泣き悲しめども、聞くらんとも覚えず。
かかるほどに、ある者の言ふやう、「たとひ耳鼻こそ切れ失(う)すとも、命ばかりはなどか生きざらん。ただ力を立てて引き給へ」とて、藁(わら)のしべをまはりにさし入れて、かねを隔てて、頸(くび)もちぎるばかり引きたるに、耳鼻かけうげながら抜けにけり。からき命まうけて、久しく病みゐたりけり。
〈juppo〉ええ〜前回まで面白かったのに、こんな結末ヤダ。と思われるかもしれませんが、こういう話なんです。
耳と鼻が欠けて穴になってしまったということですが、想像するのも嫌なので絵にしませんでした。耳と鼻が欠けるくらいなら、顎の骨なんかも砕けてしまうのではないかと思うのですけど、当時はまだX線がなかったので、外から見える障害にしか言及されてないのかもしれません。足鼎が外せない間はしばらく飲まず食わずでいたでしょうから、痩せて外せるようにはならなかったのでしょうか。「石鹸水をつけてみたら?」なんて助言してあげたくなりますね。石鹸があれば、ですけど。
おそらくこれが今年最後の記事になる当ブログですが、こんな結末で締めくくることになるとは。何かもっとほんわかしたお話にすればよかったかなぁ、なんて思う年の瀬です。年末年始、大人の方はお酒を飲む機会も増えることと思いますが、飲む方も飲まない方も、くれぐれも外せないようなものを頭に被らないように、なメッセージになってしまいましたか。
私の介護生活も当分続きそうです。母は車椅子でしか移動できないものの、最近スポーツクラブへまた連れて行っています。ヨガもピラティスもできないんですけど、とりあえず参加させてもらったり、メンバーさんたちと会って話しかけていただくと、元気になって帰れるし食欲も出るようです。会費を払っているとはいえ、こんな母を快く受け入れてくださるスポーツクラブには感謝しかありません。来年もよろしくお願いします、YOUTH町田さま。
来年も皆さんにとって良い年でありますように。心も体も健康にお過ごしください。
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