急に「大鏡」です。とあるリクエストで。
くらもちの皇子の続きは「近日中に」と言っておいて続かない、そんなブログです。
〈本文〉
さて、土御門(つちみかど)より東(ひんがし)ざまに率(ゐ)て出(い)だしまゐらせたまふに、晴明(せいめい)が家の前をわたらせたまへば、みづからの声にて、手をおびたたしく、はたはたと打ちて、「帝王(みかど)おりさせたまふと見ゆる天変ありつるが、すでになりにけりと見ゆるかな。まゐりて奏(そう)せむ。車に装束(そうぞく)とうせよ」といふ声聞かせたまひけむ、さりともあはれには思し召しけむかし。「且(かつがつ)、色神一人内裏(だいり)にまゐれ」と申しければ、目には見えぬものの、戸をおしあけて、御後(うしろ)をや見まゐらせけむ、「ただ今、これより過ぎさせおはしますめり」といらへけりとかや。その家、土御門町口(まちぐち)なれば、御道なりけり。
〈juppo〉何の前触れもなく「大鏡」で、しかもAです。@はこちらにあります。なんと2011年1月の投稿です。10年前ですね。
実は@だけ描いた、もとは「天皇御出家」というタイトルだったその記事と、その前の「花山天皇」とを、書籍「高校古文まだまだこういう話」に掲載するつもりでした。ところが、編集段階で「ちょっと待った」が入りました。この続きが重要なのでそれを描くべきだということでした。その時に描かなかったのは、時間がなかったからです。その翌年に出た「高校古文じっくりこういう話」の時にはその話題が出なかったので、スルーされることになり、@を描いてから10年、続きを描く案が出てから2年も経ってようやく、作品化にこぎつけました!
今やっと描いたのは今年出版されるはずだった5冊目の書籍に入れる予定があったからです。今年はもう出ません。来年のお楽しみです。ご期待ください。
今回は花山帝が粟田殿こと藤原道兼に連れられて、出家への途についたところです。その通り道に住んでるのがあの、安倍晴明ですよ皆さん、陰陽師ですよ。
晴明は帝が退位するのを前もって知っています。式神は「しきがみ」ですが「しきしん」とも「しきのかみ」とも言ったりするようで、陰陽師の手となり足となる鬼神だとか。人じゃないんですね。
そういうキャラですし「目には見えぬ」ということなので、ぼんやり描いておきました。
続きがあります。もう1回。くらもちの皇子については、その後で。年内を目指します。
2020年12月22日
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