2021年04月04日

阿倍(あべ)の右大臣と火鼠(ひねずみ)の皮衣(かわぎぬ)B

4月になりました。皆さんそろそろ「3密って何と何と何だっけ!?」なんて覚束なくなっていませんか。続きです。
〈本文〉
朝廷(おほやけ)に申して、からうじて買ひ取りて奉る。値(あたひ)の金少(すくな)しと、国司
(こくし)、使(つかひ)に申ししかば、王けいが物くはへて買ひたり。いま、金五十両賜(たま)はるべし。船の帰らむにつけて賜(た)び送れ。もし、金賜はぬものならば、かの衣(ころも)の質(しち)、返(かへ)したべ。
といへることを見て、「なに仰(おほ)す。いま、金すこしにこそあなれ。嬉しくしておこせたるかな」とて、唐土の方(かた)に向(むか)ひて、伏し拝みたまふ。
 この皮衣入れたる箱を見れば、金青(こんじやう)の色なり。毛の末(すゑ)には、金(こがね)の光(ひかり)し輝きたり。宝と見え、うるはしきこと、ならぶべき物なし。
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〈juppo〉密室・密会・密談・・・、違います。どうぞ正解を思い出してくださいね。

 ご注文の品が届いた安倍御主人です。Amazon並みにサクッと届いた感じもしますが、これまでの方達が3年くらいかけて宝を入手していたことから考えると、ここまでにも相当時間がかかっているかもしれません。隣の国と手紙のやり取りをするだけでも、今のようにはいかないでしょうからね。
 昔も今も、珍しいものはお寺にあるんですね。それを聞きつけ、お役人を通して、足りない代金を肩代わりしてまで手に入れてくれたこの王けいという人は、かなりできた人ですよね。差額を払ったら送ってやると言っても良さそうなところを、気前よく商品だけ先に送ってくれています。踏み倒す人もいるだろうな、と思ったらまさに安倍御主人は踏み倒しそうな雰囲気です。購入者としての評価が心配です。
 
 王けいの手紙の最後に「かの衣の質、返したべ」とありますが、この「質」は「しち」と読んで「人質」の「質」と同じ意味です。「質屋」の「質」とか。「物質」ですね。ものじち。
 また、皮衣を入れていた箱について、「金青の色」と言っていますが「紺青」のことだそうです。

 かくして、まんまと皮衣を手に入れた安倍御主人です。いよいよ次回はかぐや姫に・・・、御主人とともに、はやる気持ちでお待ちください。
posted by juppo at 17:08| Comment(0) | 竹取物語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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