「三月三日は」の第三回。三づくしです。続きです。
〈本文〉
祭近くなりて、青朽葉(あをくちば)、二藍(ふたあゐ)の物ども押し巻きて、紙などにけしきばかりおし包みて行きちがひ持(も)てありくこそをかしけれ。据濃(すそご)、むら濃(ご)なども、常よりはをかしく見ゆ。
童(わらは)べの、頭(かしら)ばかり洗ひつくろひて、なりはみなほころび絶え、乱れかかりたるもあるが、屐子(けいし)、沓(くつ)などに、「緒(を)すげさせ、裏をさせ」などもてさわぎて、いつしかその日にならなむといそぎおしありくもいとをかしや。
〈juppo〉相変わらず葵祭がどんなお祭りなのかよくわからないまま描いている私ですが、今回は祭の準備の様子です。
青朽葉は「青みがかった朽葉色。朽葉は赤みを帯びた黄色」と、説明にあります。一体何色になるのでしょうか。
二藍は「藍と紅の中間の、青みのある赤」だそうで。あえてわかりにくく言ってないか?と疑わしい表現です。検索して現物を見た方が早そうです。
まあ何しろ、いつもより品も色も良い布地を用意して、祭りに行く装いを凝らそうというわけです。小さな子さえ準備に怠りはありませんが、そこは子どものこととて、いろいろとちぐはぐな様子を暖かく見守る清少納言さんなのです。
「屐子」は足駄のような履物だそうなんですけど、「屐」という字が難しくて漢和辞典で調べたら、読みは「ケキ/ゲキ」で、この文字だけで「はきもの」の意味を持っています。「歯のある木製の履物、下駄の意」だそうですよ。漢和辞典には靴のような絵がありましたが、「屐子」で画像検索すると下駄がいっぱい出てきます。
葵祭には全く詳しくありませんが、お祭りに行く日を待ちながら、着て行くものを選んだり準備したりする楽しみは良くわかります。普段着でない装いに、またワクワクするものですね。
早くも次回は最終回です。近いうちに必ず。
高1の頃からこのブログを見つけ、柴田さんのマンガを、苦手な古文学習の大きな参考として密かに利用しています。
現在高校2年生なのですが、授業で「桃花源記」をやっているのですが、漢文、しかも話の内容が難しくて、イメージが全然わいてきません。
もし「三月三日は」が完結しましたら、次は「桃花源記」をお願いできないでしょうか。
リクエストの場所が違っていたら、申し訳ございません。
ご愛読、コメントありがとうございます。
リクエストはここにどんどん書き込んでください。
「三月三日は」の次は「徒然草」を描こうと思っていましたが、「桃花源記」を調べて、その前か後に描きますね。
少しお待ちください!