久しぶりにオールカラーです。短いです。「枕草子」四十段です。リクエストにお応えしています。
〈本文〉
あてなるもの 薄色(うすいろ)に白襲(しらがさね)の汗衫(かざみ)。かりのこ。削(けづ)り氷(ひ)に甘葛(あまづら)入れて、あたらしき鋺(かなまり)に入れたる。水晶(すいさう)の数珠(ずず)。藤(ふぢ)の花。梅花に雪の降りかかりたる。いみじううつくしきちごのいちごなど食ひたる。
〈juppo〉形容動詞「あてなり」には「高貴な」とか「身分が高い」という意味があります。「竹取物語」で、かぐや姫目指して「あてなるも賤しきも」男たちが押しかけてきた場面などもありました。
「上品な」という意味もあり、ここでは身分がどうとかいうよりそこに品があって素敵♡なものを集めたようです。
1コマ目、「薄色」とだけ言って何色かはっきり言ってなく、辞書にはいくつか色の候補が出てるんですけど、「薄紫」という訳があったのでそうしました。薄紫の「袙」というのは、表に着るものと肌着の間に着る着物のことだそうです。「汗衫」は「汗」という字が入っている通り、夏の衣類のようです。童女が着るものだとか。本当はもっと裾が長いです。多分。
ところで「かざみ」とタイプしても「風見」としか変換されないので、一字ずつ変換しました。「衫」は「さん」で変換されます。豆知識。
「かりのこ」はガンや鴨やアヒルの卵で、確かに鴨の卵って綺麗な色なんですね。
そして3コマ目、平安時代にもかき氷があった、というのが今回のハイライトです。リクエストは書籍出版元の時岡氏から来ましたが、このエピソードがイチ押しだったようです。甘葛は今でいうどの植物のことか、はっきりしてないみたいです。あまちゃづるのことかも、な説もあるようです。この甘葛かき氷を再現しようと試みるプロジェクトが各地で展開されている模様です。
可愛いとかキレイとか、うっとりするものはいろいろありますが、「品がある!」と見えるもの限定で並べているのが面白いですよね。どれも確かに「品がある」ものかどうかは、個人の感想ですよね、と言いたいところですが。
次回は漢文から。の予定です。
以前に「桃花源記」をリクエストしたものです。お忙しいなか、素敵な漫画を本当にありがとうございました。
あの後、テストでいつもより少し高いくらいですが、良い点を取れました。わかりやすく表現してくださった柴田さんの素敵な漫画のおかげです。
ですがそれ以上に、柴田さんの漫画を書く際の姿勢であります「古文、漢文の単語、一文字一文字を丁寧に調べる」ことを、自分の勉強の中でも癖づけるようにしていった結果、ただの単語の暗記でしかないと感じていた古典の授業がわかりやすくなったり、作品の深みやおもしろさに気づけたりするようになりました。
まだまだ苦手意識はありますが、作品の深さや面白さを感じられるきっかけを与えてくださった柴田さんには本当に感謝しています。
作品を描かれるのは、大変な苦労があることを承知で、再びリクエストをさせていただいてもよろしいでしょうか。
三学期に、漢文では十八史略の「諸葛孔明(瑯琊の諸葛亮、襄陽の隆中に寓居す・・・から始まります)」、古文では大鏡の「鶯宿梅」を行うそうです。
この二作品のうち、どちらかだけでも構いません。リクエストにお応えいただけないでしょうか。
年末のお忙しい中、大変申し訳ないのですが、柴田さんのお力を貸していただけるのであれば幸いです。ご検討、よろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。「桃花源記」の時にもご丁寧な感想を寄せてくださって、とても嬉しかったです。
とある高校2年生さんの、勉強に対する姿勢には恐れ入ります。私が高校生の時に、そのくらい真面目に古文や漢文と向き合っていたら、もう少しマトモな大人になっていたかなぁ、なんて考えてしまいます。
そんな、ちょっと情けない大人になってしまった私ですが、いただいたリクエストにお応えすることで少しでも皆さんのお役に立てれば、と日々思っています。
今回いただいたリクエストにも、なるべく早いうちにお応えできればと思います。いつまでに!とお約束できないのが申し訳ないですが・・頑張りますので、お待ちくださいね。