〈本文〉
此必有北虜使來、狐疑未知所從故也、明者覩未萌、況已著邪、乃召侍胡詐之曰、匈奴使來數日、今安在乎、侍胡惶恐、具服其狀、超乃閉侍胡、悉會其吏士三十六人與共飲、酒酣、因激怒之曰、卿曹與我倶在絶域、欲立大功以求富貴、今虜使到裁數日、而王廣禮敬卽廢、
〈書き下し文〉
此れ必ず北虜の使の来ること有って、狐疑(こぎ)して未だ従う所を知らざるが故なり。明者は未だ萌(きざ)さざるに睹(み)る。況(いわ)んや已に著(あき)らかなるを邪(や)」。乃ち侍胡を召して之を詐(たばか)って曰わく、「匈奴の使来って数日なり。今安(いず)こに在る乎(や)」。侍胡惶(お)じ恐れ、具(つぶ)さに其の状を服す。超乃ち侍胡を閉じこめ、悉(ことごと)く其の吏士三十六人を会(あつ)めて与(とも)に共に飲み、酒酣(たけなわ)にして、因って之を激怒せしめて曰わく、「卿(そち)の曹(やから)は我と倶(とも)に絶域に在って、大功を立てて以て富貴を求めんと欲す。今、虜の使到ること裁(わず)かに数日にして、而して王の広(こう)の礼節即ち廃る。
〈juppo〉前回の後半で、西域に派遣された班超さんは、鄯善という国にやってきました。今話題の、新疆ウイグル自治区のあたりらしいです。そこの広という王様に、初めこそ好意を持って迎えられたものの、すぐに扱いが雑になったと。その続きからの今回、班超さんが感づいたことには、これから対戦しようという匈奴もここに来ていて、広はどっちにつくか決めかねているのではないかと。
侍胡は侍者の胡人ということです。胡人には異民族という意味もあったり、元はあご髭の長い人を指していたり、だそうですがここでは広が班超に従うように遣わした人だそうです。
その胡からまんまと実情を聞き出した班超さんの反撃が始まります、というところで続く、です。
次回はいよいよあの名言の予感がしてもいいかもしれません。
【関連する記事】