読めない漢字を拾って漢文を綴る苦行から解放されたのも束の間、鶯が読めません。正解は後ほど。リクエストにお応えしています。久しぶりの「大鏡」です。
〈本文〉
「いとをかしうあはれに侍りしことは、この天暦(てんりやく)の御時に、清涼殿の御(お)前の梅の木の枯れたりしかば、求めさせ給皮脂に、なにがしのぬしの蔵人(くらうど)にていますかりし時承りて、『若き者どもはえ見知らじ。きむぢ求めよ』とのたまひしかば、ひと京まかりありきしかども、侍らざりしに、西の京のそこそこなる家に、色濃く咲きたる木のやうだいうつくしきが侍りしを、掘り取りしかば、家あるじの、『木にこれゆひつけてもて参れ』とて、
〈juppo〉鶯は「うぐいす」と読みます。山手線の鶯谷駅で降りたことが1度くらいはあると思いますが、駅名を漢字で書く機会が今までの人生に訪れませんでした。
タイトルに鶯が出てきたからには鶯ご本人が登場しそうですが、今回は出てきません。2回でお送りしますので、次回をお楽しみに。
1コマ目から登場しているお爺さんは、以前「雲林院の菩提講」に出てきた夏山繁樹という人です。その繁樹さんの語る昔話になっているんですね。どのくらい昔かというと、70年くらい昔のようです。そういうわけで回想シーンではぐっと若い姿に描いています。なにがしの蔵人が「若き者どもは」という言い方をしているところを見ると、この時すでに繁樹さんはそう若くないのかもしれませんが、とにかく昔の話なので。
枯れてしまった木に代わる梅の木を探し歩いた繁樹さんがやっと見つけた見事な木の持ち主は、どうやら女主人のようなんです。ここではそう分かる記述はないんですけど、後半で女性だということがわかります。
その女性が梅の木につけて「もて参れ」と言ったのが文だという記述もないですよね。でもこの後でそれを読むので、ああ文なんだなくらいのことが分かるわけです。
その文面とか鶯はいつ出てくるのかとか、そんなに長くない後半ですがいろいろお楽しみに。わりとすぐ更新します。
2022年02月28日
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