11月になったのに暖かいです。暖房費が浮くのは何よりです。続きです。
〈本文〉
この大臣(おとど)、子どもあまたおはせしに、女君(をんなぎみ)たちは婿とり、男君(をとこぎみ)たちは皆、ほどほどにつけて位どもおはせしを、それも皆方々(かたがた)に流されたまひてかなしきに、幼くおはしける男君・女君たち慕ひ泣きておはしければ、「小さきはあへなむ」と、おほやけもゆるさせたまひしぞかし。帝の御おきて、きはめてあやにくにおはしませば、この御子(みこ)どもを、同じ方につかはさざりけり。かたがたにいとかなしく思し召して、御前(おまへ)の梅の花を御覧じて、
こち吹かばにほひおこせよ梅の花あるじなしとて春をわするな
また、亭子(ていじ)の帝に聞えさせたまふ、
流れゆくわれはみくづとなりはてぬ君しがらみとなりてとどめよ
なきことにより、かく罪せられたまふを、かしこく思し嘆きて、やがて山崎にて出家(すけ)せしめたまひて、
〈juppo〉有名な歌が出てきました。京都から福岡まで梅の香りを送ってね、と木にお願いする道真さん、流れをせき止めて流される私を止めて、と法王に頼む道真さんです。「しがらみ」とは川の中に杭と竹を縦横に結んだものを刺して、水をせき止める仕掛けのことだそうです。
今回漫画にするのに悩んだのは、朝廷が「小さきはあへなむ」と温情を寄せたのに、そのあとに「この御子たちを同じ方につかはさざりけり」とあるので、結局子どもたちは連れて行けたの?行けなかったの?ということなのです。小さい子を連れて行ったのが史実のようなので、「この御子たち」というのは大きい人たちの方を指すのだな、と解釈しました。
もう一つ、筑紫への道中でいきなり道真さん出家してますけど、実際出家したかどうかは不明らしいんです。文中にそうあるので出家したような絵にしましたが、事実と違う!とクレームが来ても私のせいではないんです。
この後に出てくるシーンでも、ちょっとドラマチックに盛っているらしい場面があるようですが、そこまでしなくても十分に同情せずにいられない道真さんの境遇ですよね。
ここまででかなり気の毒な展開ですが、まだまだ続きます。
2023年11月06日
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